【灰羽リエーフ】50センチの"嫌い"・1 ページ26
*
癪でムカついてぶっちゃけ嫌いで、そんな自分が一番の敵だ。
可愛くない。全然可愛くない。誰からもいい顔をされない自分。……嫌いだ。
そんないつものことを唐突に思い出したのは、急に目の前に大きな背中が現れたからだった。一瞬狼狽えたけれど、すぐに気を取り直す。
自然に出る声は不機嫌そのものだった。……嫌いだ。
「ちょっと、そこ、通れないんだけど」
「……ん? ああ! いたんだ、A」
「ずっといたよ」
「気づかなかった!」
無邪気な笑顔を見せる同級生の名前は、灰羽リエーフ。ロシアと日本のハーフらしい。そして、両親の血を受け継いだのか背が高い。顔を見ようと思ったら首が痛くなるくらい見上げなきゃいけない。
人と話すのは基本嫌いだけど、最近は灰羽と話すのが一番嫌いだ。だってこいつ、背が高過ぎるもん。
「……いいよ。どいて、邪魔」
「ごめん! 見えなかった」
「……いいからどいて」
そりゃあ灰羽の視界に私は入らないだろう。140と少しの身長。対して灰羽は190あまり。……見えなくて当然だ。
灰羽と話すのが嫌いだ。見下ろされる不快感なんて、灰羽はきっと一生わからないだろう。
「……いいから! どいてって言ってんの」
「わっ。……え、A怒ってる?」
「怒ってない!」
怒ってます。こいつ早くどっか行ってくれないかな。
短気な私はすぐに苛ついて、怒って、そしてまたうっかり口を滑らせる。
「灰羽あんたデカくて邪魔なだけなんだから、ちょっとは周りへの迷惑も考えてよ」
反省などしていない。言いたいことを言えて、スッキリしていた。
そんな私の度肝を抜いたのは、次の一言。灰羽は一拍の間を置いてから、急に声を出した。
「じゃあ、Aはちっちゃくて可愛いな!」
*
「…………は?」
え? 今何て言った? ……空耳でしょ? え?
呆然とする私に、灰羽は変わらず笑うだけ。不安になって思わず聞き返した。
「……今、何て?」
「? Aはちっちゃくて可愛いって……」
「は、」
…………はい?
嘘だ嘘だ嘘だ。絶対嘘だ。自分に言い聞かせる。
何それ。意味わかんないんだけど。ちっちゃくて? 可愛い? 初耳だ。
ちっちゃいのは仕方ないから認めるけど、え? 可愛い? あんたの目と耳腐ってんじゃないの?
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - ★マチャキ★さん» 好きだったらだいたい書いてますよー。 (2016年7月20日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
★マチャキ★ - 照ちゃんあった!! (2016年7月19日 20時) (レス) id: a549331ee4 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» そしてお察しの通り、及川さん大好きです。色々書きたくなるので、最初と最後に入れてるだけなんですけどね。前作も前々作も読んでくださってありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» コメントありがとうございます!とんでもない、長文コメント最高に嬉しいです…!!私も実は「この続き書きたいなぁ」なんて毎回思ってまして、うーん……したい、ですねぇ……(笑) (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
彗華@京都へ行きたい (元:凰華)(プロフ) - 前作、前々作を見て思ったのですが【及川さんで始まり及川さんで終わる】というループみたいなものが出来ているように感じました。作者様は及川さんが好きなのでしょうか?更新頑張ってください。応援しています!(長くなってしまいすみません) (2016年4月17日 22時) (レス) id: 4e64820097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年4月14日 18時