さよなら青春、さよなら木兎さん。【赤葦京治】 -完-

さよなら、日常。 ページ5

＊赤葦side

その次の日から木兎さん達３年生は本格的に受験に打ち込み始めた。
勉強嫌いな木兎さんも志望校に合格する為、頑張っていた。
最近はよく徹夜するらしい。

木兎「だあぁぁあっ！！
ここ分かんねぇよぉぉぉおぉぉぉッ！！」
赤葦「それ一年の問題じゃないですか」
木兎「えぇ！？
これ三年のじゃねぇの！？」
赤葦「よく見てくださいよ…
これ、一年の問題集って書いてあるじゃないですか」
木兎「ぬあぁぁぁぁぁっ！！
買ってくるの間違えたぁぁぁぁぁっ！！」
赤葦「買ってきたんですし、真面目に解いてください」

もちろん、部活にも顔をあまり出さなくなっていった。
最初の頃は週に一度だけ来てくれた。
でもこの頃は受験で忙しいみたいだ。
俺が会えるのは精々休み時間か昼休みぐらい。
その時は一緒に弁当を食べた。
屋上で食べる時、少し肌寒かった。

木葉「はあぁ…受験かぁぁー」
赤葦「大変ですね」
木葉「全くだぜ！
まぁ、でも自分で決めたことだしな！」

そうだ。
先輩達は自分で決めたことをやってるんだ。
俺が邪魔しちゃいけないんだ。
進路を途絶えさせちゃ駄目なんだ。

卒業まで時間もない。
俺はこれまでの感謝をどう伝えればいいのだろうか。
どうすれば伝わるのだろうか。
俺には答えすら出せない。
伝えたいけれど、伝えることが出来ない。

＊

＊

＊

年も明け一月、二月、そして三月。
木兎さん達３年生にとって最後の月。
バレー部の３年生達は全員受験に合格した様だ。
もちろん木兎さんも。
ギリギリだったらしいが、なんとか合格したみたいで俺も話を聞いたときには嬉しく感じた。

赤葦「…合格おめでとうございます」
木兎「おう！
あかーしのおかげだぜ！
ありがとな！」

まさかそんなことを言ってもらえるなんて思っていなかった俺は少しだけ微笑み

赤葦「力になれたのなら良かったです」

とだけ言った。
木兎さんは再度「ありがとう」と言ってくれた。
その言葉が嬉しかった。

卒業式前日。

昼休み。

木兎「見てみてあかーし！
卒アル貰った！」
赤葦「良かったですね、木兎さん」
木兎「おう！」

嬉しそうに卒アルを持っている木兎さん。
楽しそうだ。
嬉しそうだ。
そうだと付け足す木兎さんはもっと表情を明るくした。

木兎「バレー部の集合写真も載ってるんだぜ！」
赤葦「そうなんですか？」
木兎「おう！
赤葦が笑ってた！」
赤葦「そりゃ、俺だって笑う時くらい…」

木兎さんは続ける。

木兎「そんでさ、赤葦にもメッセージ書いて欲しいんだけど！」


さよなら、青春。

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