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さよなら、バレー部。 ページ3

*赤葦side

木兎さん達は"バレー部として"体育館を去っていった。
残った部員達も少し涙を浮かべていた。
俺は泣かなかった。
泣かないようにした。
そんなこと出来る訳ないと思ってるけど。
皆んな、更衣室に向かう。

尾長「赤葦さん?行かないんですか?」
赤葦「あ、…先行ってて」
尾長「…はい」

誰も居なくなった体育館。
アナタと一緒に練習した体育館。

木兎『ヘイヘイヘーイ!
俺ってさいきょーう!』
赤葦『はいはい、次行きますよ』

トスを上げて決まるとアナタの調子は上がる。
もし、決まらなかったら調子はだだ下がり。
切り替えが早いのも、アナタの良いところのなのかもしれないけど。
俺は体育館を見渡した。
さっきまであったネットは片付けられていて、
照明も昼だからついていない。

それでも俺には暗く思えた。
いつもこんな明るさなのに、今日はそう思えた。
どうしてだろうか。
少しずつ、何かと共に溢れ出す。

木兎『あかーし!』
赤葦『なんですか?木兎さん』

木兎『フェイントだと__________っ!?』
赤葦『木兎さんが、教えたんじゃないですか…』

木兎『もう一点もやんねーぜ!!』
赤葦『一点もやらないのはムリだと思います』
木兎『赤葦たまにはノッて来て!!』

なんでこんなに溢れるんだろう。
どうしてこんなに溢れるんだろう。

赤葦「っ…ゔぅ…うあ、あぁあぁぁぁあッ!!」

この時だけでいい。
この瞬間だけでいい。
この瞬間だけは泣くのを許してほしい。

アナタと過ごした体育館。
アナタはもう居ない。
時間はもう迫ってきている。
俺とアナタが居られる時間はもう少ない。

木兎『次はお前の番だせ!あかーし!』

あの笑顔。
あの微笑み。

木兎さんは拗ねてもスパイクが決まれば調子が良くなる。
アナタが決めてくれる。
アナタに上げればアナタがきっと決めてくれる。
アナタを信じてきて、良かった。

俺はアナタをエースとして、信じてきて良かった。

木兎『あかーし!トス上げて!』

いくらだって上げますよ。
いくら腕が手が震えても。
使えなくなっても。
動かなくなっても。
身体が壊れても。
狂ったとしても…俺はっ…

アナタにトスを上げ続けます。
だから、だからっ…
もっとこの体育館で一緒にしてバレーを
しましょうよ…



さよなら、青春。
さよなら、木兎さん。


さよなら、バレー部。

さよなら、体育館。→←さよなら、先輩。



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瑠璃葉(プロフ) - 夜明けと蛍聴きながら、読みました。赤葦の気持ちも木兎さんたちの気持ちも、わかるのですごく泣きました。 (2019年3月16日 17時) (レス) id: 603a824da9 (このIDを非表示/違反報告)
ーーー - これ、夜明けと蛍のやつですかね?っていうか初っぱなから泣きっぱなしです。もうヤバイやっぱり一番複雑なんでしょうね。赤葦 (2019年1月31日 21時) (レス) id: 8c9efd1690 (このIDを非表示/違反報告)
宵月(プロフ) - 夜明けと蛍(ガッショー!!のやつ)を見てから読んだので、めちゃくちゃ泣きました……!3年生が卒業したとき、1,2年生の中で1番複雑な気持ちになるのはやっぱり赤葦なんでしょうね……。 (2019年1月12日 21時) (レス) id: 5b8af0e953 (このIDを非表示/違反報告)
桜庭暁(プロフ) - つい先日、部活の先輩達が引退しました。このお話を読んで旅立つ者の想いと、残される者の想いを強く感じ、とても感動しました。 (2018年11月29日 22時) (レス) id: ab5fb01835 (このIDを非表示/違反報告)
プリン(プロフ) - めっちゃ涙が出てきました!赤葦の気持ち本当にわかります…(泣)涙がポロポロ出てきますね。 (2018年11月2日 21時) (レス) id: 8a8078ca71 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チェスト | 作成日時:2018年10月25日 19時

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