さよなら青春、さよなら木兎さん。【赤葦京治】 -完-

さよなら、先輩。 ページ2

＊赤葦side

少し前の話をしよう。
春高も終わり、木兎さん達はバレー部を引退する。
そんな話をしていた時のことだった。

木兎「もっとバレーしてぇぇぇぇぇッ！！」
赤葦「うるさいですよ、木兎さん。
木兎さんは三年で今年引退ですよ？
しかも受験生。
だからバレーよりも今は勉強して下さい。
進学するんでしょう？」
木兎「あかーしが羨ましいぃぃぃぃぃぃぃッ！！」
木葉「…俺たちももう引退だなぁ」
赤葦「…っ、そうですね」

もし、俺以外で木兎さんにトスを上げる人が現れたら？
俺はどうなるんだろうか。
もし…なんかじゃない。
木兎さんが進学して大学でもバレーをするなら、そんなの避けては通れない道。
…俺の方が羨ましいですよ。
俺がもし、アナタより先に生まれて先輩だったら？
こんな思いをしたのは木兎さんだったのかな？
…いや、きっと俺が先に生まれていても
先輩だったとしても。
きっとこんな思いをしたのは俺の方だ。
俺だけだ。
その日は遅かった。
片付けをしてそれぞれ帰った。

これは木兎さん達が引退する一週間前のこと。
引退式があった為、その日は昼で部活も終わった。
"苦しい"という気持ちが胸を締め付ける。

木兎さん達三年が体育館を去っていく時、木兎さんは告げた。

木兎「次はお前ほ番だぜ！あかーし！」

笑顔で告げられた言葉にどんな思いがこもってるのだろうか。
俺も少しだけ口角を上げて言った。

赤葦「…受験、頑張って下さいね」
木兎「おう！
なんかあかーしに頑張れって言われるとやる気出るわ！」
赤葦「っ…そうですか」
木葉「…頑張れよ、赤葦主将！」
鷲尾「頼んだぞ、赤葦」
菊池「応援してる！頑張れ！赤葦！」
村田「ありがとな、赤葦！」
猿杙「ガンバ！赤葦！」
小見「あとは頼んだぞ〜赤葦」

待って、そんなこと言わないで。
もっとここにいて下さい。
この体育館にいて下さい。
アナタ達とバレーをしていたい。
まだ一緒にバレーをしましょう。
無茶振りなんて百も承知に決まってる。
それでもバレーがしたい。


赤葦「…はいッ」



さよなら、青春。
さよなら、木兎さん。



さよなら、先輩。

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