第10話 ページ11
ウィー…ンと音が鳴り、エレベーターのドアが開く。
全員がそちらに注目する。エレベーターから降りてくる人影。
その子は赤い艶のある長い髪を上で束ねていた。少し白い肌に伏せられた睫毛は長く、どことなく妖艶な雰囲気を醸し出している。
顔を上げたその子と、正面にいた数人は目が合った。
パッチリとした大きな目は、真っ直ぐ前を見ていた。
小さな背にあどけないその顔は、彼を実年齢より少しだけ幼く見せるのには十分だった。
彼はどこからどう見ても女子であった。
隊服に隠れたがっしりとした筋肉があるとはつゆ知らず、数人の男どもは彼を見て気持ちの悪い笑みを浮かべた。
無論、そんな事をしているのは相手の強さが見抜けない雑魚だけだが。
数人の実力者は、寧ろ彼の内側にある強さに警戒していた。
ビーンズからナンバープレートを受け取った彼は、「100番か!キリがいいな!!」と一言喜ぶとビーンズに礼を言ってその場を離れようとした…が。
ずい、と目の前に立ち塞がった巨体共に彼は止まらざるを得なくなった。
『む、なんだ君は!無礼だぞ!そして邪魔だ!!』
「まぁまぁ、そんな事言うなよ嬢ちゃん。ここは遊びに来るところじゃねーんだ、あぶねーだろ?
まぁ…俺らにご奉仕してくれるっつーんなら、守ってやってもいいがな。」
男どもはそんなことを言うと、品のない笑い方で笑い出した。暫く首を傾げていた水華は、はっと何かに気付くと俯いてしまった。
「お?どーした嬢ちゃん。今更怖くなっちまったか?」
『…』
「おいなんか言えよ、つまんね〜だろ」
男どもが頭を鷲掴みにし、彼を持ち上げる。
地面に水華の足がつかないよう持ち上げて、彼の表情を覗き込む男。
それを見ていたヒソカは、不快でしかなかった。
漏れそうになる殺気を抑え、事の成り行きを見ていた。
別に気にしなければいいはずなのだが、ヒソカは何故か彼が気になって仕方なかった。
何となく懐かしいような、どこかで見たことがあるような。
過去に執着しないヒソカにはよくあることだ。どうでもいい奴は覚えていないから、「誰だったっけ」とよく頭をひねっている。
しかし彼は違う。あんなに美味しそうな果実、ヒソカが忘れるはずがない。
ただの思い過ごしか、分からなくて無理矢理結論づけた。
強いんならやり返せばいいいのに♤
彼はまだ、無抵抗だった。
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むむ(プロフ) - キナコモチさん» キナコモチさん落ち着いてください…私も似たようなテンションなんですから……続☆編です!!ひゃあああああああ頑張ります!!ありがとうございます! (2019年10月6日 12時) (レス) id: 88d277cac2 (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - 麗奈さん» 可愛いよな……(真顔)続編喜んでいただけて嬉しいです!頑張ります! (2019年10月6日 12時) (レス) id: 88d277cac2 (このIDを非表示/違反報告)
キナコモチ - 続☆編キタァァァァァアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!щ('∀')щウィーーー (2019年10月6日 11時) (レス) id: a8b1629d5b (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 続編(゚∀゚)キタコレ!!、水華可愛い…(真顔 更新頑張ってください。 (2019年10月6日 11時) (レス) id: 91fcdb8923 (このIDを非表示/違反報告)
キナコモチ - 大丈夫だと思っておきますね! (2019年10月3日 16時) (レス) id: a8b1629d5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むむ | 作成日時:2019年6月29日 22時