雨の日に ページ18
すごく深い森。
それこそ地球に動物が誕生する前なのかもしれない。
そこに私は一人だった。
でもね、一人で心細くなんてないの。
とても穏やかで、心地いい。
さあ、と風が通り抜けたり、小川の音がする。
陽の光が木々の隙間からこぼれて私の元へと届く。
なんて気持ちいいんだろう。
暖かい……。
いや、少し暑いかな？
ん、段々暑くなってきた。
ダメだ、我慢できない！！
「っつ……い」
と思ったら、またサアと涼しくなり始めた。
身体を吹き抜ける風が爽やかに広がる。
あまりに清々しくてその場に寝転んだ。
しかし、またすぐに暑くなり始める。
なんなの、もう！
いいや、一人なんだし服脱いじゃお！
「……さん」
え？
どこからか声が聞こえる。
遠いようで近い、不思議な距離感。
「……さん、起きて！」
え、私、寝てるの？
そうと知ったら起きてみよう。
「んん……？」
「お、起きたーー！」
目を開けると、そこは知らない部屋だった。
ただ、そこには空を仰いだ谷川さんと、目を丸くした今井さんがいた。
状況がよくのみ込めない。
とりあえず身体を起こしてみる。
いつもより数倍重く感じる身体をやっとの事で起こすと、汗ばんでいたのか背中がヒヤッとした。
自分の恰好を見てみると、セーラー服はたくし上げられスカートも際どいラインで止まっている。
「わわっ、なにこれ……」
慌てて服の乱れを整える。
とりあえず、掛け布団で隠れてはいたようだ。
相変わらず頭痛は酷いが、物を考えられる所までは回復したようだ。
ふむ、まずは今井さんに制服お返しして、ちょっと話して、足がふらついて、今井さんに……ああダメだ、その辺からもう曖昧だ。
「ホント危なかったんですよ！ Aさん、制服脱ごうとしてたんだから！」
「す、すみません。ここはどこでしょう……」
「ナニッ！？ 記憶喪失か！？」
いやいや、ムリあるでしょ、と谷川さんが笑う。
つられて私も笑ってしまった。
「大丈夫ですよ。今井さんと、谷川さんですよね？」
くすくすと笑うと、喉の奥がむず痒くなりコホコホと咳を出してしまった。
ありゃ、やっぱりカゼなのかな……。
「だ、大丈夫ですか！？ 今日はもう泊まるか！？ そしたら……」
そしたら……？
今井さんはそこで言葉を遮って何かを考えているようだ。
何だろう？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 251人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫田七樹(プロフ) - のてさん» すみません、まだ作っていないのです(；▽；) でもこれから作ります！ 更新ペース遅くなるかもですが楽しみにしててください！！ (2020年9月8日 1時) (
レス) id: ab2594ca6b (このIDを非表示/違反報告)
のて - 続編ってどこにありますか？？ (2020年9月7日 23時) (レス) id: 33a7fd7eb5 (このIDを非表示/違反報告)
猫田七樹(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» ぺーヽ(ﾟ∀｡)ﾉ (2019年1月25日 17時) (レス) id: 13e53b62aa (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - 猫田七樹さん» ううううううん！！それで大丈夫だ！いや待てよ…？なんなら1000回押そうか… (2019年1月25日 0時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
猫田七樹(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» もももももちつけ！！ 君の気持ちは痛いほど分かった！ よし、それなら同じ内容の小説を100回投稿する。それでいいな？ なっ？ (2019年1月24日 12時) (レス) id: 778e43cdb3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫田七樹 | 作成日時：2018年11月1日 2時
