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初デートは以前のカフェという設定になり、実際の初デートは彼の提案でディナーということになった。
相手に怪しまれないように、と言われたら断るわけにも行かない。
“疑う相手もいないのに”。
初デート。
その言葉に違和感があるのは“仕事”だから。
「いってきます」
事務所に鍵を締めた時、私の頬を撫でるように風が吹いた。
「？？」
風は私の周囲をくるりと回ったように思えたが、すぐに収まった。
「…何、今の。」
透明なドア越しに見えるクピードの絵画が悲しげに微笑んだように見える。
「寝不足かな…。」
今日は帰ったらなるべく早く寝てしまおう。
なんて考えながら、待ち合わせ場所に向かった。
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作者名：SoRA | 作成日時：2021年5月10日 20時
