/ 邪 魔 者 / A.D Y.R

6call ページ6

『ほら、大貴起きて』









大貴｢んー...いや｣









家に着き、車から大貴を降ろそうとするが全く動きそうにない。









『車の中寒いよ』









大貴｢布団持ってきて｣









『つまみ出すぞ』









どうにかして部屋に行かないと。









『ほら、早く』









子供の朝のように、駄々をこねている。






寝起きが悪いのは知ってたがここまでとは。









『明日仕事じゃないの？』









大貴｢んー、知らない｣









アイドルが、ジャニーズが、
こんなにだらしなくていいのだろうか。









『もー、くどい！』









目を覚ませるように大貴の腕を叩くと

自分の体が大貴の方へ傾く。


腕を引っ張れたんだ。









『ちょ、大貴』









腕をしっかりと掴まれ、離れようとしても大貴の力には敵わない。





顔が間近にあるところでゆっくりと目を開く大貴。








大貴｢...あぁ、榮じゃないのか｣









そう呟き、腕にあった大貴の手は離れる。









『え...？』








大貴｢なんもない。部屋どこ？｣









さっきの言葉などなかったように、車のドアを開けフラフラの足取りで私のアパートへと向かう。









『２階だけど...階段上がれる？』









なんだろう。


いつもなら、榮と重ね合わせてもなにも思わないのに。






心がズキンと痛い。









大貴｢上がれる上がれる｣








『あ、そう』









大貴の後ろを着いて行くだけ。


なにも手伝わずに、見守るだけ。






榮と大貴の関係も見守っていただけ。




奪う、とか思わなかった。









『203号室』









大貴｢ここか｣









鍵を出そうとカバンをあさると
大貴は開いてもいないドアノブを持った。









大貴｢ん？開いてる｣









『え、うそ』









大貴｢戸締りちゃんとしろよー｣









中に入ると、玄関で力を出し切ったように倒れ込む。









『風邪引いちゃうよ』









大貴｢明日、7:00に起こして｣









仕事あるんかい、と心の中で突っ込み、押入れにあった掛け布団を大貴に掛けた。






明日木曜日だからお店休みだ。









『おやすみ』

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