/ 邪 魔 者 / A.D Y.R

22call ページ22

店長「ちょっと、手止まってる！」








あれから1ヶ月。



大貴からの電話なんてない。







毎晩、着信チェックをしてしまう馬鹿な自分がいる。









『あぁ、すいません』









仕事も調子が悪い。



あの電話でどれだけのエネルギーをもらっていたんだろう。









店長「さてはー、恋か」









レジのお金を整理をする私を肘でつつく。








『さあー？』








店長「経験豊富な私に相談しなさいよ」








既婚女性がそんなこと言ってもいいのか。









『じゃあ、店長と旦那さんの出会いってなんですか？』








興味はないが、聞いておけば
大貴のことをえぐられることはない。









店長「えー？旦那？高校の時から付き合ってそのままゴールイン」









『なんだ』









意外にも普通。

色んな困難を乗り越えてそうだ。









『なんかないんですか？』








店長「なによ、それ。」








生意気、と脇腹をくすぐり、考える仕草をした。








店長「あ、今の旦那と付き合う前の彼氏の話なんだけど」








彼氏いたんだ、と思いながらも
なんとなく耳を傾ける。








店長「遠距離恋愛だったの。だから毎日のように電話して、連絡とってた」








店長「でも、大ゲンカしちゃって別れちゃった、って話。どう？」









『知りませんよ』








なんか、似てるなー、と思ったが
その前に付き合ってない。




もう、そろそろ諦めたほうがらいいのかもしれない。









『今日は、もう帰っていいですか？』








店長「あれ、珍しい。いいよ。客いないし。」








あっさりと許可をもらい、
荷物の整理をする。








店長「おつかれー」








私が出る頃には雑誌をめくっていて
私を見ようともしなかった。

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