/ 邪 魔 者 / A.D Y.R

14call ページ14

中島｢あの、苗字は？｣








『Aです』









中島｢大ちゃん、いつもうるさいでしょ｣








なんとか話題を作ろうとしてる。
いい人だ。








『うん。でもそこが唯一のいいところだから』









他にもある。

いいところたくさんある。


声。

性格。

仕草。

笑顔。




全てが全て、私にとっていいところなんだ。








山田｢大ちゃんとよく遊ぶの？｣







『いや、昨日久しぶりに会って、ずっと電話とかしてた』









山田｢仲いいね｣









榮の代わりになるため、とは言えるはずもなく、
笑ってごまかす。









中島｢あー見えて大ちゃん彼女作んないんだよなー｣








『そうなの？』









ずっと前から知ってる。

彼女は作らない。

だって、




消えた想い人がいるんだから。









中島｢彼女いたことあんのかなー｣









『…さぁ？』









やっぱり、大貴、メンバーに言っていないんだ。




仲のいいと言われている山田くんも知らなさそう。






あの辛い現実を一人で受け止め、
仕事は笑顔で営業し、

誰にも当たらない。





そりゃ、私と重ね合わせるわ。







支えれるのは私だけ。







嬉しさと辛さがこみ上げなんの気持ちにもなれない。

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