愛しい君よ、さようなら。【原石青】 (ページ15)

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『田中くんの気持ちは…まあ、解ったよ。』

「じゃあ…」

『待って。時間はあるし、ゆっくり話させて。』

食べて、焼いて、お酒を流し込んで。

ゆっくりゆっくり、私は話した。

『まず、ね。私も君も、お互いを知らなさすぎる。』

『なのに好きだって言われても受け入れられない。』

『私のどこを？どうして？どんな風に？』

『知らないって、いちばん怖いことでもあるから。』

田中くんは、静かに聞いていた。

『……お肉溜まっちゃうから、食べながら聞いてね。』

「あ…はい…」

『それに、私にはもうひとつ受け入れられない理由がある。』

『それは、もちろん年齢差。』

私はもうアラサーの26歳。

『田中くん、まだ高校生でしょ。いくつなの？』

「……18。高校三年生。」

『だったら尚更。受験するにしろ、就職するにしろ。』

『こんな私なんかに構ってる場合じゃないでしょ？』

さすがにこれには呆れた。

高校3年の冬にこんな色恋に惚けているなんて。

『……話は終わり。食べて早く家に帰りましょう。』

「……俺、子供じゃないです。」

この期に及んでそんな事を言い出すとは……

正直、ちょっと可哀想ではあるけれど。

突き放して、幻想に終止符を打たなければ。

『私からしたら、まだまだ小さな子供と同じよ。』

思いっきり、田中くんの目を射抜きながら。

『例え、バイクに乗って、それなりにモテてもね。』