紫陽花 9 ページ10
時が止まった。
本当にそう、感じたのだ。
ひとらんらんの声を最後に、声を発するものはいなかった。
いや、声を出すことを戸惑ったのだ。
ショッピは感じた。
─目の前に、鬼神がいる、と。
ht「…ねぇ、今のどういうこと?」
syp「ひっ」
情けない声が喉の奥から漏れ出た。
本来濡れ羽色の様な色をした瞳は、瞳孔が開ききってうっすらと赤みがかって見える。
ht「今、Aって…言ったよね?」
こてん、と首を傾げた白服の男から、今までに無い恐怖を感じた。
ht「─あの子を、Aを知ってるの?」
真っ直ぐ見抜かれたショッピは、恐怖故に固まってしまった。
何となく、「やばい」と感じ取れたコネシマは、ひとらんらんを止めようと動こうとした。
しかし、その前に青色が動いた。
ut「待つんやげどちゃん。
ショッピくんはなんも悪くない。むしろ妹さんの貴重な情報を持っとるんや。
冷静にならんと」
鬱先生はひとらんらんとショッピの間に割り込み、ショッピへの視線を遮った。
お陰でひとらんらんからのプレッシャーから逃れたショッピは、まるで今まで息を忘れていたかのように肩を上下に大きく動かしながら呼吸をしている。
ut「な?げどちゃん」
ht「……そう、だね…ごめん。冷静じゃなかった」
正気を取り戻したのか大きく息を吐くと、罰が悪そうに軍帽を目深く被り直した。
瞳の色は、元の濡れ羽色に戻っている。
鬱先生はやれやれと安心したように微笑んだ。
ut「しゃーないよ。大切な妹さんの事やもんな」
ht「ショッピくんも、ごめんね…?」
眉を下げ、とても申し訳なさそうに謝るひとらんらんに、ショッピは「大丈夫です」としか返せなかった。
***
あけましておめでとうございます。
今年最初の更新です。
これからまた一年、よろしくお願いします。
635人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すずねこ - 更新頑張ってくださいね❗ (2022年7月11日 20時) (レス) @page48 id: 5c9b7042cd (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - 夜さん» 続きは書きたいです…!ですがリアルが忙しくなかなか更新できないのが悔しいです…!コメントありがとうございます!待っていただければ、いつか、いつかは!!書きますのでお待ちください! (2021年4月5日 23時) (レス) id: 8e20d2cd66 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - とても面白くて一気読みしてしまいました!まだ続きは書かれる予定ですか?書いてくださるならいくらでも待つので更新頑張ってください! (2021年2月5日 21時) (レス) id: c9a43346ff (このIDを非表示/違反報告)
スノウ(プロフ) - ウルズさん» コメントありがとうございます!パスワードの件はご迷惑おかけしました…(;´Д`)最初の頃から見ていただきとても嬉しいです! (2020年10月13日 23時) (レス) id: fa99c77dd8 (このIDを非表示/違反報告)
ウルズ - またこちらの作品が読めて嬉しい限りです。連載初期から文が素敵だと思い愛読してました。急に検索しても出てこなくなった事に驚きましたが、パスをかけられていたと知り納得しました。詳しい事情は分かりませんが、これからも頑張って下さい。更新楽しみにしています。 (2020年10月13日 22時) (レス) id: 18e5b459af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スノウ | 作成日時:2019年10月30日 13時