第86話 ページ40
「ここのことは聞いた??」
『A家の所有地とだけ…』
「えぇそうよ。ここは…そうね、A家が所有してる別荘みたいなものよ。昔はよくアロルスが長期休暇の度にここで過ごしていたの」
『お父様が…』
「ここはね、私のお父様…カージェンド・Aが晩年を過ごした家なの。」
純血の未完成品と呼ばれた
彼の晩年を過ごした家
本邸から距離がある上
本邸を見た後であれば
お世辞にも立派とは言い難いお屋敷である
『晩年をここで…』
「言いたいことは分かるわ。ここはあまりにも質素だもの」
『なぜA家の当主ともあろう方が??』
「正確には当主ではなかったの。彼は純血の未完成品……いいえ、純血の欠陥品と呼ばれたスクイブだったの。でも彼の弟妹や親戚は当主になれない…長子でないとこの家は継げないの」
高祖父はA家の者でありながら
魔法が使えないスクイブだった
魔法界の中でも特に血統を重んじる家は
スクイブへの風当たりが強くなる
「でも不思議なことに、お父様は魔法動物と話せた……パーセルタングさえも操ることができたの。それは彼がAの人間であると証明していたも同然」
『だから、純血の未完成品と…』
「えぇ、当主でありながら…当主の仕事はしても表に立つことは許されなかった。Aのいたあのお屋敷はお父様が幼少期から晩年の直前まで過ごしていたところなのよ」
『だからここは構造が似ているんですね』
「えぇ、それがお父様の要望だった…」
黒のドレスのチャックが上げられ
結い上げられた頭に白いモーニングベールが掛けられる
『…白』
「Aはお葬式が初めてだものね…白は未婚の女性を表すの。その逆で既婚の場合は黒を…ベールの長さは哀しみの深さを表すのよ。地域によっても変わるけれど…大抵のルールはこうね」
故人と近い関係ほど
ベールの長さは長くなってくらしく
私の頭には白く長いモーニングベールが掛かっている
「さぁこれで支度は終わり」
肩を軽く叩かれ
ふと肩に力が入っていたことに気付かされる
「……ラシャルナに会うのが怖い??」
『…ほんの少し』
今もまだ母が亡くなっただなんて
信じられない自分がどこかにいる
きっと会ってしまったら
"もしかしたら"という淡い期待さえ
抱けなくなるから怖いのかもしれない
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ウパ - 理緒さん» 理緒さんご指摘ありがとうございます!!名前変更を有効化できていなかったようです…すみません!!今修正いたしましたので、これでお名前を変換できるようになっているはずです。また何かありましたらお教えいただけますと幸いです!! (2022年9月29日 0時) (
レス) id: cd769c4dee (このIDを非表示/違反報告)
理緒(プロフ) - 第58話からリノからセリシアに変換されてしまいます！何度変えても名前が変わりません…何とかなりませんか？ (2022年9月13日 12時) (レス) @page11 id: 946438c0c3 (このIDを非表示/違反報告)
ウパ - 塩トマトさん» わぁ!!塩トマトさん!!!いつもいつもありがとうございます!心臓飛び出なくて良かったです(笑)そうだったんですね!貴重なお時間をこの作品に費やして下さるだなんて、ありがたい限りです!!!気長に待ってくださり本当にありがとうございます!温かいお言葉励みになります!! (2022年6月30日 1時) (レス) id: cd769c4dee (このIDを非表示/違反報告)
塩トマト(プロフ) - わぁぁあ待っていました！相変わらずドキドキしました。心臓飛び出そうです笑、ありがとうございます！最近は子育ても落ち着き仕事をしていますが暇がある時、読み返したりしてます！楽しみにしてますお疲れ様です。 (2022年6月30日 0時) (レス) id: 471d4a3e06 (このIDを非表示/違反報告)
ウパ - れいなさん» れいなさん、コメントありがとうございます!!泣いちゃっただなんて、貴重なお涙頂戴できて嬉しすぎます!!文作り頑張ってよかった(笑)文を作り込むが故に遅くなりがちですが続き頑張ります!! (2022年6月28日 13時) (レス) id: cd769c4dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウパ | 作成日時：2021年5月16日 22時
