選ばれし者とその妹２ (ページ31)

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Story 81 ページ31

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　ルーピン先生の『闇の魔術に対する防衛術』の授業はほとんど全生徒にとって一番人気の授業になった。

「あのローブのざまを見ろよ。僕の家の屋敷しもべ妖精の格好じゃないか」

　ドラコや取り巻きのスリザリン生たちはルーピン先生が通るとここぞとばかりにつぎはぎのローブを嘲笑ったが、そのようなことは彼を大して貶めるものではなかった。むしろ粗探しをしたところで肝心の短所が『服がボロボロ』という点しか見つからなかったということが明らかだった。

　対照的に魔法薬の授業はスリザリン以外の寮生にとって最悪なものだった。それというのもボガートの授業以来、スネイプのいる教室は険悪な雰囲気になっていたからである。それもこれも『まね妖怪がスネイプの姿になった』『ネビルがそれに祖母の服を着せた』などという話が学校中に広がったせいであり、ルーピン先生の名前が出るたびにスネイプは睨みをきかせ、ネビルいじめは一層ひどくなった。

　魔法薬の授業が始まった時、スネイプは生徒全員に鋭い視線を投げかけた。ネビルは怯えた表情を浮かべ、他の生徒は波風を立てないように緊張している。その中でA一人だけが影に取り巻かれていた。机を見つめる彼女の瞳は光が薄れ、教科書ではなく遺骨を前にしているかのようだった。

　ボガートはAに対してひとつだけ良いことをしてくれた。まね妖怪の化けたスネイプは確かに滑稽だったが、死にゆくクィレルの姿は束の間の愉快な気分を一瞬にして吹き飛ばすものだったからだ。

　スネイプはAを凝視する。彼はボガートがAの前でクィレルに変身したことも知っていた。そのことで彼女の心がどれほど傷ついたかも。スネイプは意地が悪いが、生気を失ったような状態の生徒を標的にするほど腐ってはいなかった。