選ばれし者とその妹２ (ページ11)

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Story 61 ページ11

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「またまたゴール！九○対三○でスリザリンリード！」

　シーズン最初のクィディッチの試合では一年前と違い、スリザリンが優勢だった。ハッフルパフやレイブンクローは皆、グリフィンドールを応援していたが、Aは特に気にせずどちらに得点が入っても歓声をあげたりしていた。たしかにグリフィンドールが勝ってくれれば嬉しいが、あくまでそれは兄がいるからであって、相手がスリザリンだからではないからだ。

　グリフィンドールのシーカーはハリー、スリザリンのシーカーは何とドラコだった。彼ならなることは可能だろうとは思っていたが、Aは少し驚いていた。
　
「あれ？」

　ふとハリーがあるボールにつきまとわれていることに気づく。スニッチと同様に自分で動くことの出来るブラッジャーはプレイヤーを箒から落とすために飛び回っているが、通常は一人の選手だけに集中することはない。それなのに二つのうちの片方が何故かずっとハリーを追いかけている。

　また誰かが呪いをかけたのか。そう思った時、ブラッジャーがハリーに当たった。グリフィンドール席から悲鳴が上がる。だが彼はそのまま急降下し、スニッチを掴んだ。

「ハリー・ポッターがスニッチをつかんだ！グリフィンドールの勝利！」

　リーの声が告げ、ロンとハーマイオニーの後からAはハリーに駆け寄る。試合が終わったというのにも関わらず、ボールは地面に横たわるハリーを執拗に狙っている。やはりおかしい。

「呪文よ終われ( フィニート・インカンターテム)！」

　間一髪でハーマイオニーの呪文がブラッジャーを砕いた。
　後から駆けつけたロックハートはハリーの腕が折れていることに気がつくと、「心配無用！」と杖を取り出した。これはまずい。

「待って！私がやります！エピ――」

　治癒呪文を唱えかけたAを今度はロックハートが制止する。

「いやいや！私にお任せあれ」

　そう言って彼は止める間も無く術をかけてしまった。皆が見守る中、ロックハートがハリーの腕を持ち上げると、ゴム手袋のようにぐにゃりと曲がった。

「あー……時にはこんなこともありますね。だがまあ、ともあれこれでもう痛くはないわけだ。それに骨は折れてないわけだしね」

「つまり骨をなくしちゃったわけですね、先生」

　Aの返しに、ロックハートは落ち着きなく視線を彷徨わせた。
　

　