選ばれし者とその妹 (ページ47)

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Story 46 ページ47

「ダンブルドア先生」

　涙も枯れ果てた頃、Aは淡々と続けた。

「忘れ物をしたので、取りに行ってもいいですか？」

　誰かが運んでいったのか、地下室には既にクィレルの遺体はなかった。
　更に短い階段を下り、中央の鏡の前に行くと視線を落とし、そこに放置されたままのターバンを見つめる。

　彼はこれでずっと隠してた。もう一つの顔を。

　Aは杖を振ってターバンを二つに切り裂いた。短いほうを拾い上げて頭に巻くと鏡に背を向け、歩き出す。

　私は許さない。彼を捨て駒に使い、殺した存在を。
　どんな手を使ってでもいい。どんなに軽蔑されようが構わない。
　誰を騙しても、傷つけてでも、欺き続けて、いつの日か必ず、
　――ヴォルデモートを殺す。

「あれ、A・ポッターじゃない？」

「え？どこ？」

「ほら、あそこ！紫のヘアバンドつけてる子」

「あ、本当だ！」

　次の日の朝、廊下を歩いていると生徒たちが一斉にAを取り囲んだ。

「A！よかった無事で！」

「クィレルがやったんですって！？」

「ハリー・ポッターが＂例のあの人＂と戦ったって、校長が言ってた！」

　新聞記者のように群がる彼らにAは一呼吸置いてから、仮面を作り上げて答えた。

「そうよ！私はなすすべもなかった。とても怖かったわ……でも、ハリーはどんな脅しにも屈しなかった！勇敢に戦って、あいつに勝ったの！」

　生徒たちは歓声をあげた。誰かが「ハリー・ポッター万歳！」と叫ぶと、Aを囲む全員がそれに続いた。