Story 4 ページ5
入ってきたのは背丈が天井ほどもあるがっしりとした体格の大男だった。
「おっと、すまんかったな」
彼は床の上に倒れた扉に気づき、起こして元の枠に戻した。そこでようやく我に返ったバーノンおじさんがライフル銃を向けて言う。
「今すぐここから出て行け！ 家宅侵入罪だぞ！」
「黙れダーズリー、お前は引っ込んどれ」
そう言って大男は銃を掴むといとも容易く曲げてしまった。すくみあがった夫妻を無視して、彼はダドリーに親しげに話しかける。
「おい、赤ん坊の時以来だな、ハリー。ん？ 思ったより、丸っこくなっちょる。特に腹の辺りが」
「あの、そっち、ダドリー、です」
やっとAが声を発すると大男は振り向いて嬉しそうに近づいてきた。
「お前さんはAだな？ すっかり大きくなって。ところで、ハリーはどこに行ったんだ？」
「こ、ここです」物陰からハリーが出てくると大男はまた嬉しそうな顔になった。
「おー、ハリーだ！ そうだ、土産があるんだ。俺が尻に敷いちまったかもしれんが、まぁ、味の方は変わらんだろう」
渡された大きめの白い箱をハリーが開けると中はピンクのコーティングをしたケーキで、上には緑色の砂糖で『ハリー A 誕生日おめでとう』と書いてあった。
「ありがとう！」ハリーとAは同時にお礼を言った。こんなことは初めてで、とても嬉しかった。
ソファに腰掛けた大男がおもむろに傘の先端を暖炉に向けると、そこから炎が飛び出して燃え上がり、あっという間に部屋は暖かくなった。
「ところで、その……き……聞いてもいいですか？ あの……あなたは、誰？」
Aが問いかけると男は「ルビウス・ハグリッド。ホグワーツの鍵と領地の番人だ」と答えた。
「ホグワーツのことは知っとろうな？」
「え？ いいえ」今度はハリーが答えるとハグリッドは怪訝そうな表情を浮かべた。
「知らん？ じゃあ、お前さんたちの親がどこで学んだと思うんだ？」
「何を？」
ここでハグリッドは信じられないことを口にした。
「ハリー、お前は魔法使いだ。勿論、Aも」
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
