Story 30 ページ31
＊
「二人ともちゃんとやらないと知らないわよ」
「もっと言ってやってちょうだいA」
トロール事件から数日が経ち、ロンとハーマイオニーはすっかりAの友人になっていた。ハーマイオニーはもとより、双子から話を聞いたロンはマルフォイを吹き飛ばしたAに心底感心したらしかった。
マルフォイは相変わらずちょっかいを出してくるものの、Aをスクイブと陰口を叩く者はすっかりいなくなっていた。
「A、答えを丸写しさせてくれない？」
「それじゃ覚えないでしょ」
「おいハリー、君の妹だんだんハーマイオニーに似てきてないか？ おっかねー」
「ちょっと失礼？ 本人がここにいるんですけど」
ロンとハーマイオニーのやり取りに笑っているとクィレルが通りかかる。
「あの、先生。この前はありがとうございました」
Aがお礼を言うと彼は「どういたしまして」と笑って去って行った。
「え？ 何のこと？」
「クィレルと何かあった？」
ポカンとしたハリーとロンにAは笑って「アドバイスしてくれたお礼」と返した。
「前から思ってたけどAってクィレルと仲良いよな。一緒にいるところよく見かけるし、もしかしてなんか有効な防衛術とか教えてもらえたりするのかな？」
「あ、それ良い考えね」
そんな冗談が言えるくらいに、あれからすっかり憑き物が落ちた気分だった。運良くスネイプ先生からは減点も罰則もくらっていない。
スネイプ先生といえば……。
「そういえばスネイプ先生、片脚引きずってなかった？」
Aが不思議そうに言うと「トロールの事件の時からなんだ」とハリーが話した。
「血だらけだったからあの日に何かあったのは間違いないよ」
「そうなんだ。はやく治ればいいわね」
「僕としてはしばらく休んでほしいけどね」ロンはムスッとして言った。聞けばまた理不尽な理由でグリフィンドールが点を引かれたらしい。Aは治ればいいという言葉をすぐさま取り消した。
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
