Story 17 ページ18
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ホグワーツ魔法魔術学校に入学して数日が経ち、Aは魔法薬の授業の教室である地下牢に行った。なにしろ一番恐れていた授業なのでAはそれまで以上に緊張していた。
待っていると背後から扉が開け放たれる音が聞こえ、靴音を響かせてスネイプが教壇に立った。
「この授業では杖を振ったり、ばかげた呪文を唱えたりはしない」
呟くような、心臓を撫でるような声で語りながら彼はゆっくりと一年生たちを見渡した。
「魔法薬調合の微妙な科学と芸術的な技を諸君が理解できるとは期待していない。だが、一部の素質のある選ばれた者には……伝授してやろう、人の心を操り感覚を惑わせる技を。名声を瓶の中に詰め栄光を醸造し死にすら蓋をする、そういう技を」
Aは不真面目な生徒だと思われてはいけないという一心で彫刻のように背筋を伸ばしたまま聞いていた。
「……ところで。諸君の中には自信過剰の者がいるようだ。すでにホグワーツに来る前に力を持っているから授業など聞かなくてもいいというわけか」
僅かに口調が強くなったのでAはますます身を硬ばらせる。彼の視線は離れた場所に居るハリーに注がれていたが、ハーマイオニーがハリーを小突くと、スネイプはAのほうを見た。
「先に君に訊くとしよう、A・ポッター。生ける屍の水薬に使われる材料は？」
……え？ しかばね？
ハリーの隣に座っていたハーマイオニーが瞬時に手をあげた。困惑したAが「わかりません」と答えると先生は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「クラスに来る前に教科書を開いて見ようとは思わなかったのかね、ミス・ポッター？」
スリザリン生たちが笑う。ペネロピーが言っていた通りだと思いながらAは「す、すみません先生、気を、つけます……」と素直に謝った。
「よかろう。では、ミスター・ポッター」先生はそこでハリーを当てた。
「その名も高きミスター・ポッター。アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを加えると何になる？」
そこから二度、問題を出したが(ハーマイオニーはずっと挙手していたが何故か無視されていた)、ハリーがA同様に答えられないのを見ると「情けない」と呟いた。
「名前ばかり有名でも仕方ない。そう思わんか、ミスター・ポッター」
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2020年1月2日 17時
