Story 15 ページ16
全ての組分けが終わると宴が始まり、様々な料理がテーブルの上に現れた。
気持ちが落ち着いたAが改めて上座のほうを見るとハグリッドが『よかった』と言うように親指を立て、それに笑い返してから視線を移すとちょうど目が合ったクィレルがさりげなく手を振ってくれたのでAも小さく手を振り返した。
「ねえねえ、ハリー・ポッターってどんな人?」
「勇敢?」
「強い?」
一息つけたと思いきや、Aはあっという間にレイブンクロー生から質問ぜめにあった。しまいには近くに座っていた他の寮の生徒までどさくさに紛れて訊いてくる始末だ。
「ど、どんな人って……優しい? うん、えっと、そう、優しい人、よ?」
どう答えればいいのかよく分からずそう返したがさらにいろいろと質問が飛び、Aが目を回していると「その辺にしておきなさい」と女子生徒の呆れた声が止めた。
「もう、困ってるじゃない。そんなに矢継ぎ早に根掘り葉掘り訊いたりしないの。ただでさえ初めてのことで緊張してるんだから。はじめましてA、私はペネロピー・クリアウォーター。よろしくね」
「あ、よろしくお願いします」
Aは心底感謝しながら彼女と握手した。ペネロピーは監督生だと言った。グリフィンドールにいるロンの兄のパーシーもそうらしい。
それからペネロピーは上座の教職員たちを紹介してくれた。中でも特にAの目を引いたのは、クィレルの隣に座っているスネイプ先生だった。黒髪に黒い服を纏った彼は何かを思うように誰かを見つめている。
「魔法薬の先生なんだけど、自分が寮監を務めているスリザリン以外にはすごく意地悪なの」
「そ、そうなんですか……」
「だからもし、何か理不尽なこと言われても気にしちゃダメよ」
どちらかというと悲観的なAにとって、元気づけるためのペネロピーのこの言葉は彼女が思う以上に役に立った。
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作者名:闍弥嵩 李 | 作成日時:2020年1月2日 17時