黄昏の先の女 ページ16
「おかえりなさい」
「只今、信子。明星ちゃんは?」
「今は眠ってます」
「そうか…」
診療所に戻ってきた寛は、着ていたコートを信子に預けると、自室の自分の椅子へと腰掛けて溜息をついた。
「何かありましたか?」
「否、何でもないよ…暫く一人にしてくれ。明星ちゃんの事は任せたよ」
「はい。分かりました」
信子が出ていくと、寛は窓の外へと顔を向ける。早いもので、既に太陽は西に傾いておりもうすぐ日が暮れる時間帯だった。
時間があればまた晶子の元へと行こうとしたが、今はそんな気になれない…今会ってしまったら、彼女に酷い事をしてしまいそうな気がした…
机の上の写真立てには、結婚したばかりの時に撮影した2人の写真が飾られている。晶子も自分も、心からの笑顔を浮かべてそこに立っていた。
目を閉じれば思い出せる、昨晩の声も、温もりも、吐息も、香りも、何もかも…
「晶子……君だけは、殺したくない……」
何時からこんなに弱くなったのか……寛は持っていたナイフを机に置いた。
判っている。森は晶子を欲しがっている。正しくはその異能力を…
晶子と出会い、惚れ、愛し合うまで、晶子と森の関係を知らなかった。当時なら、晶子を殺せと言われたら殺せただろう。だが、今は…
「そんな事……出来ない…………」
親愛と深愛の間でその想いは揺らいでいた
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∞色(プロフ) - 白さん» あわわわわ!ありがとうございます!外したつもりでいました(汗)気を付けます!御指摘ありがとうございました! (2016年12月2日 0時) (レス) id: d84928d06e (このIDを非表示/違反報告)
白 - 「オリジナルフラグ」が立ったままになってしまっていますよ。尚、二次創作は「オリジナルフラグ」の対象ではないので、外していただければと思います。 (2016年12月2日 0時) (携帯から) (レス) id: d9d0dd6f99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∞色 | 作成日時:2016年11月27日 23時