センチメンタル (ページ47)

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あー何やってんだよ慎太郎！！！

優「慎太郎ー！！！頑張れよっ！！！」

気づけば俺は、慎太郎に向かって思いっきり叫んでいた。

きっと俺の場所からは遠いし、周りの人の応援の声でかき消えてしまうだろう。

それでも俺は叫んだ。

やがて慎太郎は、痛いであろう足を無理やり動かしてさっきの調子を取り戻した。

一気に3組抜かして、6位にまで登りつめる。

そして.....

優「北斗ー！！！！頑張れー！！！！！」

北斗なら大丈夫だ。

そう信じて思いっきり声を出した。

慎太郎から北斗へとバトンが渡る。

俺は...

一瞬にして目を奪われた。

北斗が.........走ってるのだ。

北斗はまるで風のように運動場を走り抜けた。

彼は誰よりも速かった。

そして誰よりも輝いていた。

感動して涙が出そうになるのをグッと堪えた。

誰かに向けた涙なんて....

俺にとっては物凄く珍しい事だった。

いや、きっと初めてだ。

そして北斗は、6位から2位にまで登り詰めたのだった。

北斗からアイツにへとバトンが渡る。

1位との差は50メートルもない。

だが相手は陸上部だ。

正直キツイんじゃないかなんて思っていた。

.....が、

アイツは見る見るうちに1位との差を縮めていく。

アイツ....あんな足早かったか...？

俺は北斗と同じように、アイツから目を離すことができなくなっていた。

最後の1周。ここが勝負だ。

もう少しで抜かせる、抜かせないの大接戦。

ちょうど俺の方にアイツらが回ってきた時、

優「ジェシー！！！早く抜かせよ馬鹿野郎！！！」

俺は思いっきりアイツに向かって叫んでやった。

すると、パチッとアイツと目が合っ...いや、合ってない！合ってない！

逸らしたかったけど最後までゴールは見届けたかったので、目を離さずにいるとアイツはニヤッと笑ったのだ。

そしてさっきまでとは比べられないほどのスピードで相手を抜かし、そのままゴールしたのだった。

運動場からは大きな歓声が響き渡る。

アイツは同じクラスメイトの奴らに囲まれ、キラキラとした笑顔を浮かべていた。

なんだよアイツ...

最後走れんなら最初っから飛ばせよアホ....

無駄にヒヤヒヤさせやがって...