センチメンタル (ページ43)

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スタートの合図と共に何人かの生徒が一斉にして走り出す。

そして箱に入っている紙(お題？)を引いて開くと次は四方八方に走り出した。

しばらくすると、どこかから連れてきたであろう生徒や先生までもが一緒にゴールに向かって走りだす。

って言うか先生まで参加するんだな。

...え。俺絶対参加したくない。

そう思って樹と坊ちゃんの背後に移動した。

すると、

大「ふっ、大丈夫だよ。優吾っちは連れ出されないから笑」

バカにしたような顔をして俺に言い放った。

優「はあ！？ふざけんな！！！」

あーー！ムカつく！

なんだかコイツに優吾っちって呼ばれるの腹立つな！

樹、コイツはやめといた方がいい。

そう言いたかったけど、既に手遅れだと思ったので心の中で呟くだけにした。

樹「あ！でも先生、ジェシーならわからないよ？」

優「え？」

大「あ。確かに。」

樹「お題が"好きな人"だった場合、絶対ジェシー優吾っちの所来るって！！！」

優「は！？やだよそんなのっ！！！」

大「ウザ！好かれてるだけありがたいと思え！」

優「なんだと！？」

一体何様なんだコイツは！！！

しばらく2人で言い争っている間に、問題のアイツの番が来たようだった。

樹「お！ジェシーだ！」

別にどうでもいいけど、少しだけ目をあいつの方に向けた。

引いたお題を確認した後、運動場の真ん中にいた彼はクルッと向きを変えて、迷わずにこちらに向かって走ってくる。

は！？嘘だろ！？いやいやいやいやっ！！！

樹「え！これマジなんじゃね！？優吾っち！！！」

優「いや無理だから！！！」

その足は止まることなく俺達との距離を縮めていく。

やばい...終わった...。

諦めて目を瞑ると、

突然、キャーっと隣から甲高い声が聞こえた。

驚いて右側を見てみると、

巨人が、まさかの宮原先生を連れてゴールに走っていく姿が見えた。

優「え........」

俺の口からマヌケな声が零れ落ちた。

樹「ありゃ？」

大「な～んだ違ったね！ドンマイ優吾っち！」

優「べ、別に悲しくねーよ！」

"俺のところに来る"なんて、期待ではないけど、一瞬でもそう考えてしまったのが非常に恥ずかしかった。

でもなんだろう？

この胸がポッカリと空いたような、何かが物足りない気持ちは...