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食後、いつも通り洗い物を
3人で済ませて
ゴロゴロしながらテレビを観てると
裕太の電話が鳴って、
玉「…父さんからだ」
って曇った表情でリビングをあとにする。
実は、
裕太のお父さんは社長さんで
裕太は結構な会社のいわゆる御曹司。
ここ一帯の地区は
そういう家庭が多くて。
宏のとこも、ああ見えて結構な良家。
私の家も両親の職業上、
一般的にみると割と広い方だと思うけど
宏と裕太の家は
もっとすごいんだよね。
そんなお家なだけあって、
裕太のお父さんは昔から
かなり厳しかったみたいで
裕太とぶつかることも多かった。
誰かから電話が来ても
ところ構わず出る裕太だけど
お父さんの時だけは、
ああやって遠くで喋ってる。
ほんの1分くらいして、
宏が口を開く。
北「…あの、さ。
昨日のこと、あんま気にすんなよな」
そうだ。
裕太が席をたったってことは
宏と二人きりになっちゃってる。
北「…っていっても、無理だよな」
ははっ、って少し切なく笑う。
なんか昨日から、
宏が今までと違って見えて
…さっきも、ドキッとしたり。
宏の気持ちを聞いてしまってから
なんだか胸がずっとソワソワして
落ち着かないの。
そんなこと、本人に言えなくて
黙り込んでしまう。
北「おしっ。決めた!」
手をパチン、って合わせて
立ち上がったと思ったら
こっちを見つめてくる。
北「A。
明日の放課後、俺とデートして」
「…デートって、
いきなり直球すぎない?」
ついこの前まで
ただの幼馴染のお兄ちゃん、
だったのに。
北「だって、昨日も言っただろ?
…俺はAが好きだから。
だから、
Aとデートしたい。」
宏の言葉に
心臓が鳴り止まなくてうるさい。
気づいたら
「…わかっ、た。」
って、
承諾してた。
そこにちょうど
電話を終えた裕太が戻ってきて
玉「あー、
まじで父さんだるすぎ。
…ん?
どしたの?二人とも」
怖い顔しちゃって、って
私のほっぺたを引っ張ってくる裕太。
いつもならこれだけで、
裕太でいっぱいになって
あたふたしてしまう私。
今日は、宏で頭がいっぱいで
「なんでもない、
お父さん、なんて?」
って
普通に返せてた。
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作者名:きなこ | 作成日時:2016年10月7日 1時