alla marcia ページ25
「ごめん、ちょっとだけ愚痴聞いて。」
始めて見せるその瞳に、怯んでしまう。
「・・・コンクールって大っ嫌いなの。つつじちゃんとかは燃え上ってるみたいだけどね」
「・・・それは、どうしてですか?」
「・・・コンクールは、音楽に優劣をつける。私は、どんな音楽だって、かけがえのない一つの音楽だと思う。そりゃあ、好みはあるけど・・・」
涙を止めて、落ち着いてそう話す。
「・・・だから、それに銀賞とか銅賞って付けるのはよくないってことですか?」
「うん。この夏に、みんなで汗と血を流して頑張った努力の結晶を、コンクールは否定するから。」
「・・・」
「だから、否定されないために頑張ってる。でも、頑張ってるからこそコンクールが怖い。・・・悪循環になっちゃって、泣いちゃった。」
私は、『才能』が嫌いなつつじ先輩が白井先輩の事を『天才』と称した理由が分かった気がした。
「・・・ありがとう。やっと言えたよ。楽になってきたかも。・・・あ、じゃあ、掃除手伝うね。」
「いいですよ。疲れてるみたいですし・・・」
「そっか。・・・もっとそらちゃんとお話ししたかったな」
「へっ?!」
「そんなに驚いた顔しなくても。たまには冗談を言ってみてもいいでしょう・・・今のは、そんなに冗談でもないけど」
いたずらっぽく笑う。
「じゃあね。また」
「はい、さようなら」
ユーフォをゆっくりケースにしまうと、そのまま教室から出て行った。
「そらちゃん、掃除終わった?」
「あ」
背後から松浦先輩の声が聞こえた。
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おもちたろう - かなみんさん» 作者のおもちたろうといいます。かなみんさん、作品を読んでくださりありがとうございます。トランペット担当なんですね!かっこいいです! (2017年8月21日 17時) (レス) id: 560a5b69fc (このIDを非表示/違反報告)
かなみん - 私、吹奏楽部でトランペットを吹いているの (2017年8月21日 0時) (レス) id: d23cc83fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもちたろう | 作成日時:2017年7月7日 20時