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legato ページ22

「・・・玲奈、さやか・・・!」


病室の扉を引くと、鐵先輩は目を丸くした。


「お見舞いに来てやったぜ。はいこれ、食えよ」

「おい玲奈。…悪いな、玲奈は本当にさくらの事を心配してるんだ。許して欲しい。これはさくらの好きな西港駅の近くのケーキ屋のプリンだよ」

「・・・」


白い箱を渡すと、鐵先輩は唖然とした顔で声を上げずにそれを受け取る。


「・・・あと、これ、良かったら飾って欲しい。あまり趣味じゃないかもしれないが、玲奈が心を込めて選んだ花だよ」

「だから!あたしが選んだんじゃないって!」

「・・・ふふ」


鐵先輩はクスクスと笑った。


「ふふ。玲奈もさやかもありがとう。皆も。あと・・・お騒がせしてすいませんでした。
・・・心配を掛けたくなくって。嘘をついてしまったことも、すいません」

「ちょ、謝んないでよ。」

「さくらちゃんが復帰してくれるの待ってるから!つつじ部長にいつでも言いなさい!」

「はい。ありがとうございます。」


鐵先輩は、今までに見たことないほど笑顔だった。


「けほっ・・・げほっげほ・・・。すいません」


しかし、突然苦しそうに咳き込む。胸を押さえて止める。


「・・・大丈夫?」

「はい。大丈夫です。・・・あと、コンクール観に行きます。頑張ってください」

「ありがとう」

「さくら、でも無理はしないでくれよ?さくらはそういうところあるからな」

「えへへ、ごめんね」




「それじゃあそろそろ帰るよ。お大事に!」

「うん。頑張ってね。ありがとう」

「頑張るよ。さくらの分も」

「ああ、ちゃんと観てろよ」

「うん。」


因幡先輩と山田先輩の片手ずつに、ハイタッチをする。



病室の扉をゆっくりと締めた。


かすかにバラの香りが香った気がした。

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おもちたろう - かなみんさん» 作者のおもちたろうといいます。かなみんさん、作品を読んでくださりありがとうございます。トランペット担当なんですね!かっこいいです! (2017年8月21日 17時) (レス) id: 560a5b69fc (このIDを非表示/違反報告)
かなみん - 私、吹奏楽部でトランペットを吹いているの (2017年8月21日 0時) (レス) id: d23cc83fc6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おもちたろう | 作成日時:2017年7月7日 20時

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