ad libitum ページ13
「そら、じゃーねー」
「さよならー」
舞が車に乗っていく帰っていくのを見送った。私もそろそろ帰ろう。
「ねえ、そらちゃん!一緒に帰ろうよー!」
ヘルメットを被り自転車を押し、学校を出ようとすると、つつじ先輩が急いで追いかけてきた。
「あ、はい。歩きですか?」
「うん!ちょっと一緒にお話したいことがあるの!ゆっくりでいい?」
「いいですよ」
「・・・あはは、やっぱり、こころとそらちゃんって似てるトコあるかも!」
どこが似ているのだろうか?
私はつつじ先輩のように明るくないし、リーダータイプでもないし・・・
「ねえ!私ねぇ、どうしても勝てない相手がいるの。何年経ったって、何回努力したって勝てない相手。ライバルとかじゃなくて、仲良しなんだけど・・・。」
「・・・勝てない相手?」
「あー、うーん。音楽に勝ちとか負けとかそういうの言うの良くないと思うけど・・・。本当にさぁ、上手すぎるんだよね。彼女は。天才だよ」
「・・・それって、誰ですか?」
聞いていいのかわからないが、思い切って聞いてみた。
「千恵美ちゃんのことだよ。」
「白井先輩、すごく上手ですよね。つつじ先輩もすごく上手だと思います」
「あはは!まあね!こころは立派な立派な部長さんだからね!・・・気ぃ使わないでいいよ!」
別に、気を使ったわけではないが・・・。
「いるよねぇ、そういう子。何でだか、最初っから最強装備の子。私なんて初期装備すらなかったよっ」
その言葉を聞いた瞬間、舞の顔が脳裏に浮かんだ。
初期装備すらない私と、最強装備の舞。
もしかして、それが、私とつつじ先輩が似ているという事?
「あ、ねえ、話変わるけど鐵さくらちゃんのことってどう思う?」
「え、あ、あの・・・」
「ああ!言いづらいか!ゴメンね!・・・ちょっとぶっきらぼうだけど、さくらちゃんがいるから頑張れたみたいなところもあったから、感謝してるはしてるかな」
「そうなんですか」
「うん。・・・あーあ、辞めちゃったね、さくらちゃん。自分のサックス、もう吹きたくないからって学校に寄付したんだって」
そうだ。今日はいろいろと濃い一日だった。
「あ、長話しちゃってゴメン。ちょっとここの家に用があるから、自転車こいで帰っていいよ!じゃあね!気を付けて!」
「あ、はい!さようなら!」
つつじ先輩は『小泉』と表札に書かれた家で立ち止まり、私とつつじ先輩は別れた。
何処か聴いたころのある音が聞こえた。
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おもちたろう - かなみんさん» 作者のおもちたろうといいます。かなみんさん、作品を読んでくださりありがとうございます。トランペット担当なんですね!かっこいいです! (2017年8月21日 17時) (レス) id: 560a5b69fc (このIDを非表示/違反報告)
かなみん - 私、吹奏楽部でトランペットを吹いているの (2017年8月21日 0時) (レス) id: d23cc83fc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おもちたろう | 作成日時:2017年7月7日 20時