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あの後、入間君のもとにもアズ君とクララちゃんが中々来ない入間君を心配して迎えに来てくれて、私たちはそれぞれの教室へと別れて向かった。
tn「…で？なんかあったんか？」
『ん〜…』
先程の…あの言葉が頭から離れないせいか、トントンから話題を振られても生返事をする事が出来ず不審に思った彼に肩を掴まれ、そう聞かれた。
『あの、さ。…私、もしかしたら帰れるかもしれない。保護されると帰してくれるんだって』
tn「へ？人間界…に？」
『うん…』
自然と止まる足。トントンは驚いたように目を見開き、唖然とした表情でこちらを見ていた。
tn「それ…は、よかったやん…」
『うん。よかった』
ぎゅう、と肩を掴むトントンの手の力が強まった気がして、彼の顔が見てられなくて俯いて続きを話す。
『でもね、忘れちゃうんだって。ここでの魔界での記憶を全部消されちゃうんだって。嬉しいはずなのにさ…それ聞いたら何か嫌だなぁって』
へへ、と誤魔化すように笑って顔を上げると、彼の姿を目にする前に大きな彼の手のひらによって視界を塞がれた。
tn「ええやん、嫌なら…Aが嫌なら…帰らんでええやん。今まで通り一緒に登校して、我々師団のヤツらと馬鹿やって、先生に怒られて、みんなでご飯食べて、笑いあって。それでええやん」
『……ッ』
tn「Aが帰りたいんなら帰ればええし、帰りたくないんやったら帰らんでええやん。……なぁ、嫌なんやろ？」
暗い視界の中、耳に聞こえてくる彼の言葉にクッと喉がなった。ずっと両親や友達、弟に会いたいって思ってた。でも、でも…ッ
『かえりたくない…』
tn「ん、ならそれでええやん」
じわり、と溢れ出た涙。彼の手のひらを濡らす涙を拭おうと彼の手を退けようとするも、「そのまま泣いとけ」と笑われ彼の言葉に甘えることにした。
tn「落ち着いたら行こな。どーせ今日は師団披露の後片付けで俺ら関係ないし」
『うん』
顔を彼の手によって塞がれたまま、近くのベンチへ連れていかれ腰を下ろした。私の鼻をすする音、彼の呼吸、遠くから聞こえる悪魔たちの楽しそうな笑い声。そんな中、トントンがぽつりと小さく言葉を漏らした。
tn「…俺も、Aが帰ってまうのは…なんか嫌やなぁ」
多分、ただの一人言。
私はそんな言葉に返事をするでもなく、黙って彼の太腿に手を置いた。
いつか私が人間界へ帰ることになって全部忘れてしまうとしても、彼の温もりだけは忘れたくないな…なんて。
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ねむ - 連載時期からずっと読んでいました。今でもこの作品が1番大好きなのでいつか更新されたらいいな〜と思い読み返しています。続編いつまでもお待ちしています。 (2023年2月14日 5時) (
レス) id: 684d7a9448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆななぁ - この作品とっても好きです！続編楽しみにしています！！！ (2022年8月7日 21時) (レス) id: e0b9b0f844 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 海の幸さん» 随分と期間が空いたお返事になって申し訳ありません。またゆっくりと更新を再開していくつもりですので、お時間がある時にでもゆっくりとまた読んでやってください。コメントありがとうございました！ (2022年7月16日 9時) (レス) @page50 id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
海の幸(プロフ) - 初コメ失礼します。自分は語彙力が無いので上手く言葉に出来ませんが、この作品が本当に大好きだという事が伝われば幸いです。通知が来る度に、はしゃぎながら読んでいました。この作品を見つける事が出来てとても嬉しいです。お体ご自愛下さい。続編楽しみにしてます。 (2021年8月3日 16時) (レス) id: 773012e340 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - ルルーシュさん» 1番！？凄く嬉しいです…ありがとうございます！のろのろと本当におまたせしていただく形になってしまう更新ですが、これからも頑張っていこうと思います！改めてありがとうございました！ (2021年8月3日 16時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2021年3月11日 18時
