episode76 ページ29
ふわふわ、ゆらゆら。酒で火照った体を冷えた夜風がするりと撫でる。
結局お開きになったのは時計の針が０時をゆうに越えていて、飲み散らかした残骸を片付けて私たちはひとらん先輩の部屋を出た。
ロボロ先輩、ぺ神先輩は別棟のため早々に別れて暗い廊下を一人で歩く。
調子に乗って結構高い度数のモノも開けてしまった為か久しぶりに“酔い”を感じて少しばかりふわふわと不思議な感覚がする。
なんだか気分がいい。
ふん、ふん、と少し音の外れた母国の民謡を鼻で歌いながら渡り廊下を歩いていると、見慣れた大きい背中が。「あ、」と声を漏らすと、ひょこひょことぎこちなく進む彼はゆっくりとこちらを振り向いた。
「とんとん、」
tn「あれ？なんでAが……って、酒くさッ！お前どんだけ飲んでんねん！」
「たくさん呑んだ」
呆れた表情を浮かべて肩をすくめる幼馴染にふふーんと鼻を鳴らす。いつもより陽気な私に彼は眉を下げて笑いながらビシッと私のデコを叩いた。
少しこちらに体を傾けると彼の下の方からカシャン、と金属がぶつかる音がした。
「どうそれ。大丈夫そ？」
tn「おん、結構いける」
そう言ってトントンは笑って自分の太腿を叩いた。
先日彼に付けさせたリハビリ用の義足。義足といっても簡易なもので、取り敢えず慣れてもらうためにつけてもらった練習用の義足でもある。
初めは杖をついてびっこを引くように不自然に歩いていた彼だが、少しぎこちなさを残すものの今では普通に杖無しで歩けるようになった。持ち前の身体能力の高さゆえでもあるが、時間を見つけてはずっと影で練習していたようだ。
「うーん、じゃあそろそろ次のステップに移れそうだね」
tn「あー、お前の作る“普通の方”の義足？」
「そ。取り敢えず機械鎧が完成するまで普通の義足で我慢しててね」
tn「ほんまありがとな」
昔と変わらぬ柔らかな笑みを浮かべると、彼はぽんぽんと私の頭を撫でそのまま私の背中に手を伸ばて軽く押した。
tn「さ、時間も時間やし部屋戻ろか」
「ん」
先にカシャカシャと音を立てて歩き出した彼に続く。……金属音が鳴らないように明日弄ってあげようかな。そんなことを考えじっと彼の右脚を見つめていると、「そういや…」と彼が口を開いた。
tn「ちっちゃい頃さ、成人したら一緒に酒飲む約束してたやん。それってまだ有効？」
「ん？有効も何も一緒に飲んだじゃん」
tn「あー、ちゃうちゃう。ゆっくり二人で飲もうって事」
二人で…
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
