episode58 ページ11
ナタリーさんの背中を恨めしく見つめたレラおじさんは、ガックリと肩を落としながら私のそばに腰を下ろした。
そして紅茶を啜り一息つくと、開口一番、
kr「ごめんね、君の話をするとどうも止まらなくなる」
と申し訳なさそうに言った。
しゅんと項垂れ、反省する仔犬のようなレラおじさんの様子に、私は思わず吹き出した。
「ふふ、そんなに怒ってないよ。でも流石にこの歳になるとその話は恥ずかしいからさ……」
kr「あんなに小さかったのになー…こーんくらい小さかったんだよ？」
「あはは！それは流石に小さすぎるよ！」
私の言葉に、レラおじさんは地面スレスレの高さに手を持っていき寂しそうな顔をした。
大袈裟すぎるそのサイズに私は堪らず声を上げて笑った。
kr「僕の中では君は5歳で止まってるからな………あ、そうだ！」
レラおじさんは急に立ち上がると、バタバタと慌ただしく後ろの棚の引き出しに手を伸ばした。そして何かを取りだし、パッパッと埃を払うと、ソレを私に突き出した。
色褪せた、古い写真。
幸せそうな笑顔を見せる男女に無邪気な笑顔を見せて女性にしがみつく女の子。
「これって……」
kr「君たち家族の写真だよ。僕が撮ったんだ」
「お母さん…お父さん…」
kr「これ、あげる」
「いいの？」
kr「君の家族写真なんだから、持ってていいんだよ」
優しく、そう囁いたレラおじさんは私の頭をそっと撫でた。
両親を最後に見たのは10年以上前。あの殺された日以来。
幼い頃の記憶なんてあやふやで、両親の顔を思い出そうとしても、もやもやと靄のかかった表情しか思い出せなかった。
ゆっくりと親指で写真に写る両親をなぞる。
そうだ、二人はこうやっていつも幸せそうに笑いかけてくれた。
10年以上たった今になって、二人を失った喪失感がまたぶり返す。
「…レラおじ、さん………ッ………死んじゃった、お母さんと、お父さん……死んじゃった…」
kr「うん…」
震える手で白衣を掴むと、レラおじさんは優しく抱きしめてくれた。
もう両親の死は乗り越えたものだと……大丈夫だと思ってた。
でも、それはただの強がりだった。
体の内側で暴れ回る、どうしよもない感情の濁流が溢れて止まらない。
零れ落ちる涙を止めるべく、ごしごしと力任せに目を擦ると、レラおじさんに止められてしまった。
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蛇狐(プロフ) - #ゆー@金欠民族さん» ありがとうございます！自分のペースで頑張っていきます！ (2020年12月11日 16時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
#ゆー@金欠民族 - 後編決定おめでとうございます！！ばちくそにおもろいです！！ ゆっくり、ゆっくりでいいんで続き待ってます！！ これからも頑張ってください！！ (2020年12月10日 20時) (レス) id: 3046ae6781 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 妖々 梅雨里さん» 仕事の都合上、更新するペースはまちまちになってしまうと思いますが、頑張ります！ (2020年9月12日 21時) (レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
妖々 梅雨里 - 更新ゆっくりと頑張ってくださいね〜無理をしたらちょっと……ね〜。 (2020年9月12日 12時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - アズライト@pitterさん» ありがとうございます！これからもビシバシと物語を進めていきます！ (2020年8月20日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年8月19日 8時
