64 zm ページ29
『わぷッ！』
zm「……ッ」
反射的に目を瞑ると、その隙をつくかのようにAを誰かに奪われた。
急いで顔を擦って液体を拭うと、うっすらと服が紫色になった。
なんなん、コレ……
『あ、わわ、トントン君！？』
そんな焦ったような彼女の声が聞こえてきたかと思うと、グイッと誰かに胸ぐらを掴まれた。魔力切れでボロボロの体の俺は抵抗することなく、黙って目の前の悪魔を見た。
燃えるような赤い瞳で俺を見る豚顔の悪魔。
tn「お前、今何しようとしたん？」
zm「あ、俺……」
そうだ…、俺…Aを食おうと……
自分の仕出かしたことにサァと顔を青ざめると、目の前の悪魔はため息をついて掴んでいた手を離した。
tn「正気に戻ったみたいやな」
zm「ごめ、俺…」
tn「それは俺に言うことちゃうやろ？」
zm「あ……」
目の前の悪魔はそう言うと、自身の背後に隠していたAを俺の目の前に押し出し、眉を下げて笑う。
大丈夫、さっきみたいな甘い匂いはもうしない。
俺は困ったようにこちらを見るAにそっと近づき、彼女の小指をキュッと掴む。
せっかく仲良くなったのに。遊び相手ができたのに。
嫌だ、アイツらみたいに離れんといて。
zm「ごめん、ほんまごめん」
泣きそうになりながら、彼女の細い小指をそっと握り、自身の垂れ下がった尻尾を彼女の白い足にシュルリと巻き付ける。
拒絶されるのだろうか。手を振り払われ、突き飛ばされるのだろうか。
そんな事を思うと、彼女の目を見るのが怖くてギュッと目を瞑る。嫌悪、恐怖、そんな目を腐るほど見てきた。
だから、怖かった。
『ゾム君、顔上げて』
zm「え……ぶぇッ！？」
頬をむぎゅっと彼女の掌で挟まれ、強制的に顔をあげられる。綺麗な穢れのない瞳に覗きこまれ、吸い込まれそうになる。
突然のことに柄にもなく顔に熱が集まり、顔を背けたくなるも彼女は許してくれなかった。
『ゾム君は私を食べたかった？』
zm「……食べたいって思った。でも俺、Aのこと食べたないッ」
『そっか』
俺の言葉に彼女は満足そうに微笑み、頬に当てていた手を下ろしその小さな手で俺の手のひらを包み込む。
『仲直りしよ、ゾム君！そしてお友達になろ！』
zm「オ、オトモダチ…？」
聞きなれない言葉に首を傾げると、彼女は花のような笑みを浮かべ、そんな彼女に隣で見守っていた豚顔の悪魔は、ヤレヤレとでも言うように肩を竦め苦笑した。
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天谷(プロフ) - 甲殻類様のイラストめったゃ好きです小説も面白いです頑張ってください (2021年4月27日 22時) (携帯から) (
レス) id: 598bb1266d (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 涼さん» お、お恥ずかしい……！ご指摘ありがとうございます！下手に馬鹿を晒さずに済みました…笑 ありがとうございます！別の方がもう少し落ち着いたらこちらとバランスよく更新していく予定ですので、もう暫し待っていただければ幸いです。 (2020年8月12日 0時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
涼(プロフ) - 続編もすごく楽しみながら読ませて頂いてます…！72話の部分で『ちんとんかん』と書かれていますが、正しくは『頓珍漢(とんちんかん)』だと思います！細かいところをいちいち、すみせん…！無理のないように、自分のペースで更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2020年8月11日 21時) (レス) id: 5cac8d186e (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - ゆきなさん» 魔ｄ！原作がまだバトラパーティーなので何とも言えませんが...是非イルミちゃんと夢主ちゃんとで一緒に躍らせたいですね..！有難うございます、ちょっと性癖詰めましたｗ (2020年8月9日 19時) (レス) id: ba8f57988d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 推しが尊い…ｱｸﾄﾞﾙの時どうなるかな？zmさんが横抱きにして血を吸う？所がなんかﾆﾔﾆﾔしました！ (2020年8月9日 4時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年6月9日 21時
