episode20 ページ20
扉の前で何やら話し合っている二人。よく聞こえないがボソボソと何か話しているのが分かる。
女が苦手とグルッペン総統が言っていたから、多分その事で揉めてるのかもしれない。
私の不安に気づいたのか、目の前に座っていたオスマン外交官は私の隣へと腰を下ろした。
os「Aちゃん、いくら女の人が苦手や言うてもトントンはちゃんとわかってくれると思うで？だってAちゃんいい子やもん」
ふわりと笑って私の髪を梳くオスマン外交官のから聞こえた懐かしい名前に「えっ」と思わず声が出た。
脳裏に浮かんだ無邪気に笑う彼。
「オスマン外交官…その、トントンというのは」
os「ん？あぁ、トントン・シュヴァイン。我々国の書記長で今回のAちゃんが担当する人やで」
トントン・シュヴァイン
まさか…
オスマン外交官の言葉に驚き、固まっているとコンコンとドアが叩かれた。
os「はーい、入ってええで」
その声に合わせるように開かれたドアから現れたのは、柔らかい表情をしたグルッペン総統と車椅子に乗る黒髪の男。
髪を七三に緩く分け眼鏡をかけた彼。
眼鏡の奥からキラリと覗く私と同じルビーのような力強い瞳にハッと息を飲んだ。
カラカラと車椅子を押され、私の目の前に来た彼は驚いたように瞳を揺らしていた。
記憶の中とは違い、凄く男らしくなった成長した彼。
お互い見つめ合い黙る私たちにグルッペン総統とオスマン外交官は不思議そうな顔をしている。
何か…何か喋らないと
そう思うも上手く口を開くことが出来ず、ぐっとティーカップを持つ手に力を入れ俯いた。
tn「A…」
かさついた彼の声を耳にしたと同時に、手の力が抜けてティーカップを床へ落とす。
パリン
乾いた耳障りな音でハッと彼を見た。
彼は驚いたような顔をしたかと思うと、辛そうに顔を歪めて赤黒く腫れ上がった手首にそっと触れた。
ズキリと傷んだ手首に思わず顔を顰める。
tn「お前…なんで軍なんかに…」
「トントン…」
tn「こんな傷だらけになって…」
私が怪我をした時に自分の事のように辛そうな顔をして心配しする、昔と変わらない彼に目頭が熱くなる。
「トン…トントンだって足…」
tn「あー…これはその」
気まずそうに頬を掻くトントン。
そんな彼に私は顔を緩め、私の手首を優しく包む彼の手の上にそっと自身の手を乗せた。
「久しぶりトントン」
私の言葉に彼は目を見開くと、ふっと優しい笑顔を見せ「おん」と呟いた。
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蛇狐(プロフ) - イチゴダイスキさん» へへへ、ありがとうございます！(神様では)ないです。 (2020年12月13日 15時) (
レス) id: 6f471a4801 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴダイスキ - え？え？え？神様ですか？そうですね？なんでこんな神作品作れるですか！！もう無理好キィ(鼻血) (2020年12月12日 20時) (レス) id: f02fd4c99a (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - ゼネヴァンスさん» ありがとうございます！これからも隻脚をどうぞ宜しくお願いします！v (2020年8月10日 1時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
ゼネヴァンス(プロフ) - お気に入り1000人以上になりましたね！！！おめでとうございますっ！！！！ (2020年8月10日 0時) (レス) id: d6da2f5e2e (このIDを非表示/違反報告)
蛇狐(プロフ) - 紗稀さん» ひぇ……とてもありがたいお言葉ありがとうございます！読者さんや相互さんのお陰で成り立ってるようなものなので……笑 頑張って更新していきます！v (2020年8月9日 23時) (レス) id: a06b5d42fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛇狐
| 作成日時：2020年7月29日 17時
