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入学式当日 ページ3

『……』


今日が入学式
少年が待ちに待った入学式。

べつに学校が好きなわけでも
勉学が好きなわけでもないが少年はこの家からおさらばする時間が欲しかった。


朝日に起こされた《少年》、否 《ゼノ》は
いつものようにシーツを整える。


『…』スタスタ


ゼノはいつものように脱衣所の扉を開け
シャワールームの扉を閉じた。

流石有名な家系の息子というべきか、個人の部屋にシャワールーム、キッチン、トイレが備えられたこの部屋でゼノは日々生活していた。








ガチャ

シャワーを浴びるだけのゼノは夜に入るお風呂より出るのが早めである。

『ふぅ、』


体を拭きやっと体が綺麗と思えるゼノは安堵の息を吐いて制服を着る。


(今は、、5時半くらいか、少し急いだほうが良さそうだな)


入学式は6時6分から始まるため少し急ぐようにゼノはブレザーのボタンをとめる。


着替えの支度を終え、脱衣所の鏡に写るゼノは随分と端正な顔立ちの少年だった、
高く長い鼻やスラッとした輪郭は誰もが見惚れるであろうほどだ。


鏡に映るゼノは不機嫌そうに目を細める。
父と母に面影のあるこの顔が気に入らず
嫌いな顔を少しでも隠すようにと、慣れた手つきでガスマスクを装着する。

少し目が緩まったゼノは脱衣所を出てかばんの中身を確認した。


かばんの中には、消毒液 ティッシュ 念の為のマスク 変えの手袋など彼の必需品が入っていた、
それを満足げに見たゼノはもう一度時計を確認する。


あまり時間を消費していないと確認したゼノはキッチンへ向かう。

冷蔵庫を通り過ぎて、茶葉を置いてある台にスラリと長い手を伸ばした。

数ある茶葉の中からよく好んで飲むウバの茶葉を手に取り、茶こしに茶葉を入れティーカップにお湯を注いだ。

お湯を入れた瞬間にふわりと香る爽やかで渋みのある香りがゼノの心を落ち着かせる





『…』

しばらくソファーで紅茶を飲んでいるゼノはまさに絵画のようでいつもの硬い顔も紅茶によって柔らかい表情になっていた。









チュン チュンチュン

学校に向かう時間だと告げるかのように鳥が鳴く

残った紅茶を飲み干したゼノは、ティーカップを水につけて鞄を持ち穏やかな表情のまま窓を開けた

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作者名:ノア | 作成日時:2022年8月29日 1時

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