『I say meow. You say???』 (ページ25)

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3日後、村に戻ると俺の姿を見た村人が大急ぎで俺のところに走ってきた。
「そんなに慌てて、どうし「Aさんが！」
その言葉を聞き終わる間もなく俺は山小屋に向かって走り出した。

背中に背負った荷物が邪魔で、歩き疲れたなんて感覚もなく、山を駆け上がる。
「Aっ、A……」
汗なのか涙なのか分からないが、視界が滲んで、木の根に足を取られながら、息もあがって肺が破けそうになる。やっと山小屋が見えてきて、脚をもつれさせながら、小屋の戸を引き開けた。

囲炉裏の近くにひと組の布団が敷かれていて、そこに横たわる君を見た時、俺は声も出なかった。
なんで、山小屋にいる。
身体に障るから、麓の村の家に居させてもらえと言ったのに。
自分の呼吸音だけが、やけに大きく耳に響いて、震える声で名前を呼ぶと、Aはゆっくり体を起こした。

寝間着から覗く胸元は酷くやつれていて、草履を脱ぎ捨てて頼りない身体を抱きしめる。
「おかえりなさい」
「どうして、ここにいるんだ」
「村は色々騒がしくて、ここの方が落ち着くから」
「こんなに体だって冷えてるじゃないか」
急いで薪を火にくべて、優しく君の背中をさする。街はどうだった？なんて聞いてくるから、いろんな店があって山の中より騒がしかった。って言うと、山は静かだもの。とくすくす笑う。
「これ、Aに似合うと思って、」
そばに投げていた荷物の中から、両手ほどの大きさの桐箱を渡す。中にはつげの櫛。
「高かったんじゃない？」
「ばーか。ほぼ自給自足で、鹿とかイノシシを狩った金は貯めてたんだ。これくらい買えるわ」