26話 ページ28
どれくらい経ったんだろう…
涙は途切れることなく流れてゆく
気がついた頃には、夕日は雲に隠れていた
まるで私の心境を写しているかのように
どんよりとした空が広がっていた
『っ…も…帰らなきゃ……』
そう思っているのに、涙は止まんなくて
とてもじゃないけど…帰れない
すると、背後から馴染みのある声が聞こえた
楢「…Aちゃん？」
『あ…っ…楢崎…さん……』
こんな状態で会いたくはなかったけれど
この人はなんでいつも…こんな時に
現れてくれるんだろう…
楢「どうした…」
『い…いや…ころ…転んじゃって…笑』
楢「…」
楢「そっか、ドジだな笑」
あからさまな嘘だったと自分でも思うけど
楢崎さんは気を使ってくれたのか
私の嘘に乗っかって、そう言ってくれた
楢「ほら、顔。ぐしゃぐしゃだぞ笑」
私をからかいつつ、ハンカチを差し出した
『あ…ありがと…う……ございます』
その優しさに、また視界が滲んでゆく
私は楢崎さんのハンカチに、顔を埋めた
その瞬間、私の背中に冷たい雫が落ちてきた
楢「…雨？」
『…雨…ですね』
ぽつぽつと振り落ちて来て
あたりをアスファルトの濡れた匂いで包んだ
折りたたみ傘を出そうと、鞄を開ける
すると楢崎さんは傘を開け始めた
楢「入る？…って。持ってる？」
『えっ、あっ…い、いえ』
自分でもなんでそんな嘘ついたのかわかんない
楢「…そっか、おいで」ﾆｺｯ
『…ありがとう…ございます//』
ついた後に、突然恥ずかしくなってくる
だけど…ここで持ってるなんて言うのも…
いや、もう考えるのはやめよう…
そうして、私は傘をカバンの奥へ押し込んだ
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どんぐり - 初コメ失礼しますm(_ _)m凄く面白くて一気に読んでしまいました…w (2022年3月26日 1時) (
レス) @page37 id: 9a4b9406b7 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ミミー(プロフ) - シヲナさん» 更新頑張ってください、！！ (2021年4月1日 7時) (レス) id: 0e4633d09f (このIDを非表示/違反報告)
のの嵐♪ - はじめまして！今まで読んだ中で、いちばん好きなお話でした！とっても、キュンキュンしました！続き待ってます！ (2021年2月25日 17時) (レス) id: 3d5f2481ae (このIDを非表示/違反報告)
シヲナ(プロフ) - シュテさん» はじめまして！嬉しいコメントありがとうございます…！更新頻度が落ちつつありますが頑張ります！！ (2021年2月5日 20時) (レス) id: c7cbf40bc2 (このIDを非表示/違反報告)
シュテ - はじめまして！一気に35話まで読破してしまいました！切なくて涙が出ました。胸が締め付けられる感じで最高です！早く続きが読みたいです！続き楽しみにしてます^ ^ (2021年2月5日 0時) (レス) id: 695343578d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シヲナ | 作成日時：2021年1月8日 16時
