約束 ページ9
｢故意ですよ。故意｣
故意なんで全くなかったが秘密をひとつでも知りたかったので適当に嘘をついた。
尾形｢そうなのか……｣
と尾形は口をポカーンと開けて猫のように目を丸くする。また自身の頭を撫でる。
｢そうですよ。早く秘密教えてください。｣
尾形｢……お前の豪邸は鶴見中尉が建てたものじゃない。それだけだ。｣
｢じゃあ誰が……｣
尾形｢さあな、さっさと行くぞ｣
｢え、いや、えっ！｣
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尾形｢遅いんだよ。｣
｢どこら辺ですか、ここ｣
尾形｢さぁな、川に沿って歩いてきた。｣
｢旭川に帰らないと、…帰りたい。｣
尾形｢お前、本気で第7師団に帰るつもりなのか？｣
尾形｢その『ウイルク』とやらか？｣
｢…別に。｣
尾形｢はっ。当たりか？ウイルクってやつに殺されたんだろ？お前の父親は｣
｢まだアシㇼパが夕張に？｣
尾形｢可能性は高いな。｣
｢じゃあこれだけ。ウイルクを殺したらもう解散しましょう。私は第7師団にそのまま帰る。｣
尾形｢俺の事も聞いてくれよ｣
｢何が望みなの？｣
尾形｢俺が先にウイルクを殺したら俺の勝ちだ。だからお前は俺……｣
？｢わー！スイセンが咲いてるよ！アシㇼパさん！冬だな〜。｣
？｢今日はスイセンを夕飯に使ったらどうだ！？｣
？｢ダメだ！スイセンは毒があるから死ぬぞ！｣
？｢ひぇっ、｣
｢え、嘘。｣
急いで影になるように隠れ、草むらから覗くとアイヌの小さい少女と軍帽を被った傷のある男。坊主頭の男の3人がいた。どこかで見たことある顔だ。
アシㇼパ……アシㇼパ。自分から来てくれた。
尾形はまたポカーンとしてしまい遠くを見つめている。不味い。不味すぎる。どんどんこちらに向かってくる3人組。
？｢待て！そこに誰かいるぞ！｣
本気で焦り、咄嗟に尾形の腕を握り緊張をほぐす。
嫌がるのかと思ったが意外と受け入れてくれた。また驚いてポカーンとしている。こっちは汗が止まらないのに。と思いなんだか腹が立った。
だが鶴見中尉のことを思い出し心を落ち着かせる。
？｢おい。誰だ。｣
と先程の声とは全く違う低く冷たい声が響く。そして私の背中には銃が突きつけられている。
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
