偶然 ページ8
どれぐらいだっただろうか、炭鉱では視界が遮られ何も見えない。
幸運な事にに岩に体が潰されずに済み良かった。炭鉱の壁へ沿いながら歩く。だんだん苦しくなるがひたすら歩いた。歩いていると柔らかいものを踏んでしまい滑って転んでしまう。
何か分からないが、もしかすると月島軍曹かもしれないし、江渡貝弥作かもしれない。どっちにしろ鶴見中尉にとって必要なので助けることにした。引きずりながら出口へ向かう。
またまた幸運なことに杉元達とは反対側の出口から出ていたそうで遭遇せずに済んだ。会っていたら殺し合いになっていたかもしれない。
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男の顔を確認すると脱走兵、尾形百之助だった
まだお互いクラクラとしていて倒れ込んでしまう。そして1時間ほどで目が覚めた。目を開けるとまた違う場所だった。
尾形｢おお、起きたのかA軍医。｣
と嫌味のように名前を呼ぶ。
｢誰かと思ったら、｢脱走兵｣の尾形上等兵ではないですか｣とこちらも嫌味のように呟く
｢わざわざ傷の手当まで。何を企んでるんですか｣
尾形｢はっ。やっぱりお前は感がいいな。勘のいい女は嫌いじゃないぜ｣
尾形とは仲が良かった。と少なくとも自分は思っていた。人前では喋らないクセに自分の前だけではペラペラどうでもいい事を話してくる。
だが、尾形が造反する前から少しづつ会わなくなっていた。
｢で、何を？｣
尾形｢あぁ、俺について来て欲しいんだが、｣
脱走兵の男について行くと？しかも第7師団を数人銃殺しておいて、怒りを抑え何故かと聞く。
尾形｢お前は別に金塊が欲しいわけじゃないんだろ。｣
｢だけど第7師団を離れる訳には行きません。｣
尾形｢もう見捨てられてるだろ。｣
｢は？｣
尾形｢なんで月島軍曹や応援に来た奴らはお前を探さないんだ？｣
｢それは、｣
尾形｢なんでだろうなぁ。お前よりも江渡貝とやらが優先らしい。残念だったな｣
｢違う……！｣
尾形｢何が違うんだ？まぁ、俺に着いてきたらお前の知りたい事を全部教えてやらんことも無い。｣
｢嫌だ。行かない。｣
尾形｢お前の父親のこと、家の事、鶴見中尉のこと全部だ。条件はお前が俺に貢献したら。だ｣
｢貢献？｣
尾形｢お前が俺を助けてくれるなら、教えてやるってことだよ｣
｢じゃあ、今助けたからひとつ教えて｣
尾形｢あれはお前の故意じゃないだろ？｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
