月島ァん ページ44
月島ははあ、とため息を出す。
鯉登は膝立ち状態で月島の足に飛び込む。
鯉登｢あぁ〜！！月島ァん……！！！｣
と嘆いている。
悪気は無かったのだが…。どうやら悪いことをしてしまったようだ。申し訳ない。
｢なんかすみません、｣
月島｢……本当に何も記憶を覚えていないのか。｣
と月島が何かを疑うような目で私を睨む。
｢本当に覚えていません。｣
月島｢ならあの時どうしてあんな避け方ができたんだ？普通の人間はできないはずだ。｣
｢あの時は体が勝手に動きました。頭では覚えていなくても、体は覚えているものなんですね｣
月島｢本当は思い出しているんじゃないか？｣
｢だから、｣
と喋り始めた途端、扉が壊れるほど勢い良く音を立てて開いた。
鶴見｢Aちゃん！ゆっくり話を聞かせてもらうよ。｣
とニコニコしている鶴見がいた。嫌だ、もう怖い。
この人といると守られるという安心感もあるがいつ殺されるか分からないという不安もある。怖い。
鶴見｢月島、今の話は聞かせてもらった。Aは確かに思い出しているはずだ｣
鯉登｢どういう事だ…？｣
｢だから、思い出してない！何も知らない！｣
鯉登と月島の冷たい目線が刺さる。
鶴見｢だが、今のAちゃんは思い出していない。｣
月島｢どういう事ですか｣
鶴見｢記憶の中のAちゃんは覚えていて、いや、今思い出そうとしている。なのに今のAちゃんはそれを自分から拒んでいる。分かるかい？｣
鯉登｢今のAが拒まなくなったら思い出せると言う事か月島！？｣
鶴見｢Aちゃんの頭痛はそれが原因だ。さあ、ゆっくり話しを聞こうじゃないか。｣
｢嫌だ｣
｢嫌だ！貴方に話すことなんて何もない｣
鶴見の光の無い目がこちらをじっと見つめている。
するとまた扉が開いた。先程の男だ。口の両側に変なホクロが付いている男……。夢かと思っていたが現実だったようだ。いや、まだ夢の中なのか？
さらにその男の右手には拳銃を持っていてさらに危機感を感じる。
鶴見｢さあ、教えてくれ。百之助とはどこで会ったんだ？｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
