マヌケ ページ43
そのあとからは意識がなく、気づくと部屋で目が覚めた
着物は今にもはだけそうだ。多分髪の毛もボサボサだ
直そうと手を出そうとするが手は綱で縛られていた
ただの部屋に椅子1つ置かれた寂しい部屋だ。その椅子に私が縛られている
扉の前には人の気配が常に感じる。きっと見張り役がいるのだろう。逃げようにも窓がない密閉された部屋なので逃げようがなかった
ガチャと音を立てて扉が開く。
宇佐美｢おい、軍に貢献どころじゃないなぁ。A｣
誰だろう。相当キレているのか顔はどんどん赤くなっていく
宇佐美｢おい、聞いてるのか？マヌケ。お前なんかが鶴見中尉殿から好かれているからって調子乗りやがって｣
とまたさらに一段と顔が赤くなった。そしてすぐに出ていった
なんだったのだろうか、疲れていたから悪い夢を見たのだろうか
そしてまた10分ほどたった後にまたガチャと扉が開いた。
鯉登｢失礼する｣
鯉登｢その、体調は大丈夫なのか、｣
こんな時に体調を気にする奴がいるか、何を考えているんだか、
後ろから背の小さい男が小さな声で『鯉登少尉』と呼んでおり、それに気づいた鯉登は『キェ』と肩を震わせ、振り向き部屋を速やかに出て言った。なんだったのだろう。これは全部夢か？夢じゃないならなんだ？
5分がたった頃にまた扉が開く。
鯉登｢失礼する。｣
鯉登｢私のことは覚えていないか。｣
｢覚えていません。だけど、前のことは謝りたかったんです。本当にすみません。｣
鯉登｢ま、前んこっ？｣
｢はい。足のことで、｣
鯉登｢そげんと気にせんでよか。もう平気じゃ｣
｢本当ですか？でも、本当にごめんなさい。｣
鯉登｢そいよりも今までAがないをしてきたんかが知ろごた｣
｢ん？｣
流石に今までの薩摩弁は何となく聞き取れていたものの、
今のはサッパリだ。
鯉登｢キェッ｣
そしてまた後ろから扉がゆっくりと開いた。その瞬間に鯉登がしゃべり出した。
鯉登｢今まで何をしてきたのかという事だ…｣
―――
｢で、尾形さんが……｣
鯉登｢…｣
｢その時尾形さんが……｣
鯉登｢…｣
｢尾形さんと一緒に…｣
鯉登｢…。キェェェ！！！月島ァん！｣
そして扉の前で待ち構えていた月島が出てくる。
鯉登｢もう聞いていられん。Aが尾形百之助んこっしか喋らん。もう聞きすぎて耳が痛か。｣
月島｢教えてくれと言ったのはあなたでしょう……｣
鯉登｢だが、こげん尾形百之助んこっを話さるっとは思うちょらんじゃった……。｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
