おかえり ページ42
するとまた息を切らしながら走ってくる男がいた。暗くてよく見えないがもしかして、前に刺してしまった男なのではと思い、尾形といる時よりも気まずくなってしまった。いや違う。そもそも私銃口を向けられているんだ。こんなこと考えている暇なんてない！
男はこちらに気づき目を細くしてこちらを見ると
鯉登｢きぇぇぇ！｣
と猿叫をあげた。夜の街に響くのは鯉登の猿叫だけであった。
鯉登｢な、なんでAがおっど！？！？｣
男｢黙れ！撃つぞ｣
と脅しを入れられる。脅しというか、本当にやりそうだが。
鯉登｢その女を離せ｣
なんて切り替えが速い人なのだろうか、先程まで猿叫をあげていたのに。色々ツッコミたいところが多すぎる。
するとまた1人の男がこちらへ向かってきた。
頭に白い額当てのようなものをつけた男。どこかで見たことがある。どんどんこちらに向かってきており、少しづつ顔が見えてくる。
あぁ、あぁ、私はこの人を知っている。記憶では知らないが、頭が、身体が知っている。そしてとてつもない痛みが頭を襲う。この痛みは何度来ても慣れない。あまりの痛がり方に首を掴んでいた男も驚いたのか手を緩めた。その瞬間にAは頭を抱え丸くなり、鶴見が銃撃を開始する。
見事Aには当たることはなく、首を絞めていた男に命中した。
そして次は着物を着た女がやってきた。鶴見を後ろから殺害しようと企んでいたのか、女が手を出そうとした瞬間後ろから切られたようだ。
そして女の首は切れ、コロと床に落ちる。
鶴見の足元に落ちた生首は切れてもなお鶴見の足に噛み付いてきた。
鶴見｢なんという生命力だ｣
と呟いていた。
鶴見｢美しい死に様を見させてもらったよ｣
といい頭を痛がっている私に視線を向ける。
鶴見｢Aちゃん！！久しぶりだね。私のことを覚えているかい？｣
とわざとからかうように耳元で囁かれる
痛い頭を抑えながら返事を返す
｢どちら様ですか…。｣
鶴見｢残念だ。君という最高傑作を作ったのにも関わらず記憶喪失とは｣
｢最高傑作？｣
鶴見｢Aちゃんの医務室はまだ綺麗に保管されているぞ？そして君の患者も待っている。早く戻っておいで。｣
｢どこに戻るんですか｣
鶴見｢第七師団。そして旭川へ。さあ、帰ろう。｣
と手を出される。
私の意思は全くないのに手が勝手に動いてしまい、男の手を握ってしまう。動かそうとも思っていないのに、体が勝手に動いてしまった。
鶴見｢おかえり、『A軍医』｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
