純白の貝殻 ページ41
尾形｢海には毒がある奴が多いらしい。裸足は早く出た方が身のためだぞ｣
｢え！？、｣
と走って砂浜へと向かう。
毒なんてあるのかと思っていると尾形が海に手を浸し私に向けてきた。そしてその手を握り、勢い良く手を開いてきた。そして尾形の手についていた海水が私の顔面に直撃する。私は思わず
｢ぎゃっ｣
と変な声を出してしまった。口に海水が入ってしまった…、あ、毒とかあるんだっけ！？と思い出しひたすら口の中から取ろうとするが水なので取れる訳もなく口の中に変な味がする。私死ぬのか、尾形にかけられた毒付きの海水で、死ぬ前に記憶を思い出したかったな、などと考えているといきなりしょっぱい味がすることに気づいた。
｢ん？これ、塩？｣
尾形｢知らなかったのか？｣
｢海って塩なんですか！じゃあとんでもない量の塩ができるじゃないですか！｣
とまるでさっきの父親の話を忘れたかのように興奮している。
尾形｢はっ。早く行くぞ｣
とまたスタスタと歩き始める。そして私も後を追いかける。
―――
尾形がいきなり足を止め橋に寄りかかった。
｢ここは？｣
尾形｢しらん。｣
｢…綺麗ですね。｣
尾形｢これ、やるよ｣
と差し出されたものは綺麗な貝殻だった。白く傷一つない本当に綺麗な貝殻だ。
｢いつこんなものを？｣
尾形｢さっき海に行った時に拾ったんだ｣
｢ありがとうございます。大切にします｣
尾形から初めて貰った形に残る贈り物だ。これは私が死ぬまで身に付けていよう。そう心に誓った。
少し気まずい雰囲気になったので、
｢少し御手洗に行ってきます。｣
と言い尾形の元を離れる。今すぐ叫びたい気分だ。贈り物なんて貰うの初めてだし、どうやって貰っていいのか分からなかった…。そんな事を色々考えた。
街を真っ直ぐ歩いていると、とてつもない速さで走ってくる男がこちらに向かってきた。
｢ええええ！｣
このままではぶつかってしまう。しかし避けようにも速すぎて避けられない。
ぶつかりそうになった時に目を瞑ったが、ぶつかることは無かった。だが、私の首にはその男の手が回っており銃口が頭に向けられていた。速すぎて頭が追いつかない。混乱している余裕もない。
｢え、｣
私捕まったの？今首締められかけてるの？なんであの速さでぶつからなかったの？と頭の中をグルグルと駆け巡るが何も答えは出ない。出す暇もない。何が起こったの？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
