愛があれば ページ37
尾形｢お前、それをどこで、｣
｢え、ええと。気がついたら、｣
尾形｢はっ。やっぱりお前みたいなやつは見たことがないな。面白い。｣
｢何が面白いんですか｣
尾形｢俺のことをどこまで分かってるのか知らないが、お前は愛されていたのか？｣
｢なんですか急に…。｣
尾形｢自分の親に愛されていたと思うか？｣
｢…思ってました。｣
尾形｢思ってた？｣
｢だって、愛があれば、きっと、｣
尾形｢……｣
｢きっと、親がいなくなることもないし、母が1人で死んでることもないんじゃないですか、｣
尾形｢…そこまで思い出したのか、｣
｢だから、きっと母親には、｣
尾形｢でも、お前がそうするべきと言ったからだろ。｣
｢……どう言う事ですか。｣
尾形｢お前が愛を確かめる方法を……。｣
｢なんのことですか、｣
―――
気がついたらもう太陽が顔を出していた。今は朝の4時か5時くらいだろう。
昨日のことが気がかりで全く眠れなかった。しかもあのまま寝るなんて恥ずかしくて出来なかった。
尾形の言っていた『親の愛を確かめる方法』とはなんだろうか、
記憶を無くす前の私はなんてことを言ってしまったのだろうか。
どんな人だったのか。あの顔を見る限り私がなにかやらかしているのは確実だ。
……そもそも私と尾形が一緒に行動する理由はなんだ？
父のことを教えると言われたが、なぜ父のことが知りたいのか、何もかも分からない。いや、分かっているがその価値が問えない。調べて何になるのだ？
なぜ尾形は私にそんなに執着しているのか？
本当に幼なじみなのだろうか、私の広島弁を聞き取れないし、広島弁すら知らなかった。幼なじみだとしても方言ぐらいは知っているであろうし、
そしてなぜ私は兵隊さんを殺さなくてはいけないのだろうか、その人が何かをしたというのか、その人全員が私の親を殺した訳では無いだろう、あぁ、頭が痛くなってくる。
そもそも私も親の事を愛していたのだろうか？『普通の親子』というものに憧れていただけなのではないだろうか？
自分を愛していない人を守ろうなんて思わない。なのになぜ親孝行と言ってあの人を刺してしまったんだろう。あぁ、痛い。頭が痛すぎる。視界がフラフラする。
そのまま意識がなくなり、尾形が看病してくれていた｡
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
