瓜二つ【ゴールデンカムイ】 (ページ36)

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通りゃんせページ36

夜中の２時、やはりなかなか寝付けずに寝返りを打っていると尾形にぶつかりと止まってしまった。近い近いと思い離れようとすると尾形が目を開け私の腕を掴んできた。どうやら寝ていなかったようだ…。

｢え？｣

尾形｢何やってんだ｣

｢あ、寝返りをうってたら偶然、偶然です｣
焦りで体全身から汗が吹き出る。

すると尾形は私の背中に手を回しこちらに引き寄せた。私は尾形の胸に埋もれるように丸まっている。
まさかこんなことになるとは思ってもいなかったので心臓がドクドクと音を出している。尾形に聞こえているのではないかと思いそれもまた恥ずかしかった。

暖かく、安心感がある。自分もそうだが尾形からも聞こえる鼓動に何となく先程とは違う安心感を感じる。匂いは外で活動しているし、何日も風呂に入ってないので臭いがそれはお互い様なので気にしない。その匂いすらも安心できるほどだ。

この向かい合ってる体制で、手は私と尾形の胸の間に縮めていたが、段々と痺れてきたので少しモゾモゾと動き安定する位置に置く。尾形はそれが気になったのか私の手を引っ張り尾形の体を包むかのように背中に手を回された。うそ、これじゃあまるで抱き合っているかのようじゃないか、また鼓動が早くなる。

｢これじゃあ緊張して寝られませんね｣
離して欲しい訳では無かったが、本当にこれじゃ寝られない。まあ、離されたところで思い出して寝れないのだが。

尾形｢なんだ。離して欲しいのか｣

｢そんな訳じゃない｣

尾形｢じゃあいい｣
といいまた目を瞑る。

こんな事が前にもあった気がする。
｢通りゃんせ、行きはよいよい、帰りはこわい、｣
と気づいたら口ずさんでいた。口から勝手に出てしまったので自分でも驚いた。
真っ暗で静かな森の中ではどんなに小さな声でも聞こえてしまうほどだ。今のも絶対に聞こえている…。
寝ているといいんだが、寝ているかを確認するために尾形の顔を見あげると尾形は驚いたような、懐かしむような、どこか遠くを見るのような顔をしていた。