褐色のみたらし ページ35
無事に人混みから抜け出し山に入る。
ようやく暑苦しい外套から抜け出せれて息がしやすい。
｢なんかその、すみませんでした。｣
私が何も食べなかったせいでこんなことになってしまって、これは申し訳ない。
尾形｢…ほらよ｣
と手から袋を差し出している。さっきの事もあってか少し破れていたが中は傷ついていないようだ。
袋を受け取り中を確認すると四角い木箱が入っていた。さらに木箱を開けると中には宝石のようにキラキラと光っている褐色のみたらしがあった。そのみたらしの下には少し焦げ目がついた白い餅、思わず唾を飲み込んでしまうほどの見た目と匂いだ。自分が手をつけていいのかと尾形の方を見ると
尾形｢…なんだ。早く食え｣
とまた自身の頭を撫でていた。
いつ団子なんて買ったのだろうか、一度疑ってしまったがやっぱり優しい一面もあるのだなと思った。
｢ありがとうございます！いただきます！｣
と団子を頬張る。美味い、美味すぎる。これは手が止まらない……。
―――
｢後で手当しますか？｣
ともぐもぐしながら尋ねる。
尾形｢頼むよ。｣
断ると思ったのだが意外と素直に受け入れたことに少し驚いた。
｢ちょっとまっててください｣
と言い腰についてる小さなポーチから包帯、消毒液、脱脂綿を取り出し準備に取り掛かる。
普段このポーチは『弾薬盒』と呼ばれ名の通り弾を入れるものなのだが、何故か私のは医療品が入っている。
胸のポケットからハンカチも取りだし、偶然近くに川があったのでハンカチを川で濡らし尾形の顔を拭く。
血で汚れていた顔は何回かハンカチで擦ると直ぐに消えた。傷からの出血も止まっているようだ。
ハンカチは血で汚れてしまい川で洗っても赤いシミは取れなかった。仕方なくまたそのままポケットへとしまう。
脱脂綿に消毒液を染み込ませ傷口にぽんぽんと当てる。その上から包帯を巻きこれで終わりだ。
｢絶対に触らないでくださいね。｣
尾形｢あぁ、｣
今日はやけに尾形が言うことを素直に聞く。
どうしたのだろうか、
―――
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
