大人しく俺に ページ32
夜が明け、目を開けると目の前には寝てる尾形がいた。正直驚いたが起こさないようにそっと起きる。やはり枯葉を敷いても硬いものは硬い。しかも寒い。
今までは尾形が外套を貸してくれていたので助かっていたが……。やっぱり失ってからありがたみを知るものだなと思いお返しの意味も込めて私の上着を尾形にそっとかける。
朝に弱い私は目をさまそうと思い少々体を動かす。昨日から何も食べていないのでお腹がすいた。前に家永さんたちと食べたなんこ鍋は絶品だったなと思い出す。尾形が取ってきてくれた鳥を一緒に羽をむしって捌き焼いて食べたことも思い出す。あの鳥は人生で食べた中でいちばん美味しい鳥だっただろう。
あぁ、和菓子巡りに行きたい。ん？和菓子巡り？
すると尾形はむくりと起き上がりこちらの顔を見ている。
｢おはようございます。｣
尾形｢昨日は何を食った？｣
｢特に何も……。｣
尾形｢早く行くぞ。準備しろ｣
｢どこに行くんですか？｣
尾形｢いいから着いてこい。｣
―――
とにかく尾形について行き気づけば人がどんどん多くなっていた。綺麗な建物も沢山ある。
人が多いせいか尾形を見失ってしまうので尾形の外套をただ掴み離れないように必死だった。
人が多い分、軍人も多く巡回しており警戒する。
自分は尾形が持っていた紺色の外套をもらった。尾形のものとはまた違うしっかりとした外套だ。あの時は気づかなかったがきっと殺した軍の人間から奪ってきたのだろう…。
尾形がある店の前でいきなり止まったのでそちらを確認すると甘味処と荒々しいが綺麗な文字で看板に書かれていた。
｢甘味処？｣
なるほど、団子とさっき呟いたからか、と少し納得する。案外優しいところもあるようだ。
すると尾形はいきなり私の手を引っ張りながら建物の隙間に入り銃を手に構える。身を隠しているようだ。
…甘味処へ行っていると思ったのに。やはり酷い男である。期待した私が馬鹿だった…。
｢どうしたんですか｣
とちょっと拗ねた私が尋ねる。
尾形｢第七師団の奴らと目が合った。お前のことを探しているから危険だ｣
｢探してる？｣
尾形｢お前が昨日刺した人間の事でもうお前は逃げ場がないぞ。｣
｢ど、どうすれば…｣
尾形｢大人しく俺に…｣
男｢おい！いたぞ！捕まえろ！｣
尾形はAを自分の背後に隠し銃で男を撃つ。
銃声を聞いてほかの人や、軍人も集まってきた。
軍人｢逃がすな！必ず捕まえろ！｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
