瓜二つ【ゴールデンカムイ】 (ページ31)

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瓜二つページ31

月島｢何故避けなかったんですか、｣

鯉登｢……分からない。｣

月島｢貴方が葉山軍医なら自分を襲わないと希望を持っていたからでしょう？｣

鯉登｢……記憶を戻しているのだろうか｣

月島｢それはわかりません。ですが、記憶があれば鯉登少尉や私を攻撃しないはずです。｣

鯉登｢もし記憶を取り戻した状態なら、｣

月島｢まぁ、私達を攻撃してきた以上、逃がしておく訳には行きません。必ず捕まえましょう｣

月島
確かに気持ちは分かる。昔からの馴染み……のような人からあんな事をされたら誰だって悲しむだろう。それは自分も同じだ。

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男を刺して逃げ出したのはいいが逃げたところで尾形がどこにいるかも分からない。
ただ、捕まらないように必死に走るしか無かった。

1時間？2時間？どれだけ走ったことか、もう夕日で空が橙色に染まっている。山はすぐに暗くなってしまうだろう…とにかく寝床を探そう。独りだが、尾形の真似をし火を起こす。確か弾をこうして……。

手こずったが火をつけられただけでも今日はいいだろう。あとは枯葉を集め床に敷きつめる。晩飯はないが正直食べたいとは思わなかった。

―――尾形side

あの時Aを助けてやればよかった、のか。銃で撃とうと走って木の上に向かったがまさか違う方を刺すとは思ってもいなかった。走った時に声をかければよかったのだがかけることは出来なかった。
自分と同じだったからだ。自分と重なったことが嬉しかったから。
きっと心から愛している人を自分の手で傷つけたことが嬉しくて声をかけることが出来なかった。そして泣かなかった。大切な人を殺しかけても泣かなかった。そこも過去の自分と重なった。
まるで｢瓜二つ｣。
嬉しくて笑が止まらないが、Aを追いかけに行った。