惚れた女のため ページ20
杉元｢おい！あんた大丈夫か！｣
と声をかけられた。
｢うぅ…｣
としか唸れない私にゆっくりと背中をさすってくれる彼の手は暖かかった。
杉元｢大丈夫か？一回顔を上げてくれ｣
と言われ、痛みに耐えながらゆっくりと顔を上げる。
顔を見た瞬間このまま死んでしまうのではないかと思うほどの痛みが襲った。彼はとても驚いたかのような、不安な顔をしていた。
そのまま背中をさすられ続けるも尾形に言われたことを思い出す。暗くて分からなかったがよく見ると軍帽を被っている。まずい。逃げなくてはと思い俊敏に足を動かす。
杉元｢お、おい！待て！｣
と止められるが走るのを辞めずにとにかく走り続けた。
だが頭がフラフラする中本気で走るのは到底無理だった。すぐに杉元に追いつかれた。
その時1発の銃声が森に響く。男はAを守るように上に覆いかぶさり、Aの頭を手で抑えている。
私は頭を触られたことにびっくりし少し固まった。
尾形は杉元とAのあの状況を見て思わず銃を構えてしまった。外へ出るといい庭を探すが居なかったためここに探しに来たようだ。
鳥を撃っただけなのにあの男とAが抱き合っている。
逆に怒りも何も湧いてこない。
まだ2人は尾形に気づいていない。
Aの頭痛は治まったようだが…
先程の銃声は鳥を撃ったものだったのだが、杉元たちが勘違いしたようだ。
Aは、はっとし暴れ出す。離せ、離せとこれをみた尾形はAが無理やり抱かれていると思い男の背中に銃口をつける。
尾形｢おい。離れろ。殺すぞ｣
｢尾形さん！助けて！｣
と体を動かし杉元の体から抜ける。
杉元｢待てよ！俺は殺すつもりなんか、｣
尾形｢お前の惚れた女のためってのはAのことか？｣
杉元｢はぁ？！ちげーよ！｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
