なら良か ページ16
鯉登side
鶴見中尉はこの建物のどこかにいると仰っていた。先程鶴見中尉との話が終わり、今は父上と玄関へと向かっているところだ。
私はAを見つけ出すために周りをキョロキョロキョロキョロと確認している。周りから見たら変なやつだ。
階段をおりている途中、二人の軍人が横を通った。
1人は坊主頭の目つきが悪い男。
もう1人は顔が見えない。隣の男よりも小柄で筋肉量が少ないように見える。そして私が横を通った時に軍帽を深くかぶっていた。怪しい。
私が視界に入るまで2人で何かを喋っていたくせに、私が現れてからピタリと喋るのを辞めてしまった。
上官として敬意を表しているのか、と胸を張りかけたが、明らかに目付きが違う。何かを隠すような動きだ。
私たちは階段で足を止め、お互いを睨み合う。
奴らと何か関わりがあったかは分からないが、目を離してはいけない。そう感じた。
鯉登｢……Aという女性を見ていないか。｣
私は冷や汗をかいた。謎に背筋が真っ直ぐ伸びた。
鯉登からは、私たちの腰から下は死角になっているはずなので、私は尾形の足を体重をかけて踏む。
『言うな』と体重で念をかけた。
尾形｢さあ。軍に入ってからの『お楽しみ』ですな。｣
と笑っていた。
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尾形｢おい、お前、アイツと何か関わりがあんのか｣
｢前に鶴見中尉の出張で少しお世話になったんです。それから関わりはないんですけどね。｣
尾形｢キョロキョロとお前に随分逢いたいみたいだったな。｣
｢尾形上等兵こそ、あんなにガンつけて何かあったんですか？｣
尾形｢はっ。聞きたいか？｣
｢後でゆっくり聞かせてもらいますよ｣
と嫌な笑みで語り合う。
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
