どけおっとりますか ページ15
月島｢この人を見ませんでしたか｣
看護婦｢見てないわ｣
月島｢また最後の病院ですよ｣
鯉登｢なぜ居ないのだァ！！｣
月島｢いるかもしれません｣
月島｢この人を見ませんでしたか｣
と偶然目の前をとおりすぎた医者に聞いた。
医者｢あぁ、前までここに居たよ。｣
鯉登｢なっ！！本当なんか！！！｣
医者｢あぁ、崖から落ちて骨はボキボキ。記憶を失くした女の子を男が背負ってどっか行ったよ。｣
月島｢崖から落ちた？｣
鯉登｢記憶をなっした！？｣
医者｢そう。助かったのは奇跡だよ｣
月島｢今はどこに？｣
医者｢分からないなぁ、街の人に聞いたら見た人がいるかも知れないね｣
月島｢ありがとうございます｣
━
鯉登｢Aが、崖から落ちて記憶をなっしてん…だいじょっじゃろか｣
月島｢死んでは無いですよ｣
鯉登｢そうだが、やっぱい心配じゃ。会おごたんな｣
月島｢鯉登少尉…もしかして｣
鯉登｢ち、ちごっ！！昔からん馴染みじゃっで心配しちょっだけじゃ！じゃっで…｣
月島｢はいはい。分かりましたよ。丸見えです｣
鯉登｢ちごって！！大切な部下が崖から落ちたや心配すっじゃろ｣
月島｢部下ですか、｣
━鯉登side
Aとまさか軍で再会するとは思ってもいなかった。会いたいとは思っていたが函館から旭川などなかなか遠すぎて行けなくそもそも住所すら知らないので全く足をつけてなかった。
が、今回を気に探してみようと思ったら医務室に前と全く変わらないAの姿があった。
前にあった時はお互い16程だったから顔も変わらなかったのであろう。最初は幻覚かと思ったがしっかりと軍服の上に白衣を着たAの姿があるのは確実だった。
気にしていないと言えば嘘になるが、尾形百之助がいつもAの周りをうろちょろしており話せなかった。あの後の暮らし等話したいことは沢山あったが、話かけられなかった。
陸軍学校に入学した時、父上と一緒に鶴見中尉に挨拶をしに行った。
鶴見中尉は真っ白な将校服を着ていてとても眩しい。
こんな将校に私もなりたい。かっこいい。そんな事が頭をぐるぐると回っていた。
そうだ。A。なぜ鶴見中尉の元にAがいない。
鯉登｢鶴見中尉、Aはどけおっとりますか？｣
鶴見｢Aちゃんなら、ここのどこかにいるはずだ。帰りに探してみるといい。｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
