月島っ！月島っ！ ページ12
鯉登｢随分と荒れているな。｣
周りには草が踏みつけられ潰れた跡があり、地面には矢が刺さっていたり血が滲んだりと散々だった。
月島｢この矢は…｣
鯉登｢見覚えがあるのか｣
月島｢いえ、なんでもありません。｣
鯉登｢…そうか。｣
と考えるように目をつぶり地面に刺さっていた矢を拾い
止まらずに歩く鯉登。
月島｢鯉登少尉！！危ない！｣
と叫び鯉登が目を開けると、目の前が絶崖だった。
鯉登｢キェェェェェェェェ！！！月島っ！月島っ！｣
と落ちないように両手をパタパタさせながらバランスを取り耐えている。
急いで月島は鯉登の元へ向かい手を掴みこちらに引っ張る。
お互い緊張で息が切れていた。
月島｢きちんと前を見て歩いてください！！｣
と怒鳴りつけ鯉登はしょぼんとしてしまっていた。
先程、落ちかけた時に崖下を見ると黒い大きな物体が落ちていたのを見て、あれが何なのか気になり、また覗いてみるとカバンのような形をしたものが落ちていることに気づいた。
鯉登｢月島！あそこに鞄が！｣
月島｢鞄？｣
崖の横には坂道があり、下り崖の下まで降りて行くと変な位置に転がっている鞄と近くには地面が凹んでいた。
月島｢陸軍の物ですね。中を確認しましょう。｣
鯉登｢これは、｣
月島｢鶴見中尉とAの写真？｣
鯉登の手には2人が写真館で撮った写真があった。
鯉登｢何故ここに？｣
月島｢A軍医の物かもしれません。｣
鯉登｢じゃあAが落ちたという事か！？｣
月島｢可能性はあります。ただ荷物だけ置いてくのは…｣
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由仁の道にて。
尾形｢すみません。コイツは妹なんですが、心臓が悪く…もう長くないのです。最後に長沼にいる父と母に会いたいと言っているのですがどうも金がなく、ここから長沼の距離を歩くのは、歩いているうちに妹が危なくなるかもしれません。この鳥二羽で乗せてくれませんか。｣
いつ鳥なんて捕まえたのだろうか
主人｢なんていい兄なんだ。｣
と目をウルウルさせながら話を聞いていた。
主人｢あぁ、馬橇に乗りなさい。｣
尾形｢ありがとうございます。｣
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作者名：ハムカツ | 作成日時：2023年10月16日 19時
